スルガ銀行 不正の構図

スルガ銀不正融資「スジ悪物件で奈落に」438人の怒り

今沢真・経済プレミア編集長
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「苦しみは終わらない」と記者の前で話す女性=東京都千代田区で2022年4月19日、今沢真撮影
「苦しみは終わらない」と記者の前で話す女性=東京都千代田区で2022年4月19日、今沢真撮影

スルガ銀不正融資の今(1)

 東京・霞が関の中央官庁街の一角、東京地裁に、司法記者クラブの会見場がある。今年4月半ば、その会見場で1人の女性が十数人の記者を前にマイクを握りしめていた。

 その記者会見は、スルガ銀行の不正融資の「被害弁護団」を率いる河合弘之、山口広両弁護士らによるものだった。河合氏が女性を紹介し、「被害者の一人です。話してください」と促した。

 女性は「私は東京都内在住、50代の会社員です」と口を開き、手元の紙に目を落としながら言葉をつないだ。要約すると次の通りだった。

「かぼちゃの馬車」は解決したが…

 6年前、仲介業者の紹介で、シェアハウス「かぼちゃの馬車」1棟を7490万円で不動産会社から購入した。すべてスルガ銀行から借金した。不動産会社の破綻で家賃保証がほごとなり、返済義務だけが残った。ただ、弁護団の尽力で物件を代物弁済し借金を帳消しすることで決着をみた。

 「でも、私の苦しみはまだ終わっていません」と女性は続けた。シェアハウス購入の1カ月前に、同じ仲介業者の紹介で、埼玉県熊谷市の中古賃貸マンション1棟を、投資として2億5920万円で買っていた。すべてスルガ銀行の融資だった。賃料収入は説明よりかなり少なく、多額の修繕費も必要となり借金返済に行き詰まった。

 「いよいよ自己破産か、自殺して家族に不動産を残すべきか、夜も眠れぬ日々を過ごしました」。銀行に融資書類の開示を求めたところ、払ってもいない手付金の領収書が出てくるなど、素人目にも怪しすぎる点が多数見つかった。

 「400人を超える被害者の一員として、弁護団とともにスルガ銀行と闘ってゆく決意をお伝えしたかった」。女性はこう述べた。記者の前で話すのはもちろん初めてだが、人に言えない話を聞いてもらい、うれしい感情がこみあげたという。

シェアハウス購入者946人が和解

 「かぼちゃの馬車」問題は、2018年に社会問題化した。スルガ銀行から借金をした多数の人が返済不能に陥り、「自己破産」の危機に直面した。

 行員が不正に関与していたことがわかり、金融庁が銀行に業務停止命令を出した。購入者と弁護団は、銀行前のデモや…

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今沢真

経済プレミア編集長

1983年毎日新聞入社。89年経済部。日銀・財研キャップ、副部長を経て論説委員(財政担当)。15年経済プレミア創刊編集長。19年から同編集部。22年4月に再び編集長に。16年に出版した「東芝 不正会計 底なしの闇」(毎日新聞出版)がビジネス部門ベストセラーに。ほかに「東芝 終わりなき危機」など。16~18年度城西大非常勤講師。