経済プレミアインタビュー

プーチン氏が「ウクライナはネオナチ」とこじつける理由

川口雅浩・経済プレミア編集部
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5月に入り、多くの住宅が破壊されたキーウ近郊ホストメリに戻った15歳の少年。「この町を再建し、人々の傷を癒やしたい」と夢を語った=2022年5月7日、三木幸治撮影
5月に入り、多くの住宅が破壊されたキーウ近郊ホストメリに戻った15歳の少年。「この町を再建し、人々の傷を癒やしたい」と夢を語った=2022年5月7日、三木幸治撮影

ロシア語学者に聞くウクライナ侵攻(2)

 ロシアのプーチン大統領がウクライナを「ネオナチ」と呼ぶのはなぜか。ロシア人にとって、ナチスとはどんな意味を持つのか。ロシア語が専門で両国の文化に詳しい井上幸義・上智大学名誉教授に聞いた。

 ――プーチン大統領がウクライナのゼレンスキー政権を執拗(しつよう)にネオナチと呼ぶのは、どんな理由があるのでしょうか。

 ◆プーチン氏が主張するネオナチというのは、こじつけだと思います。なぜそんなこじつけをするかというと、ナチスというのはロシア人にとって最大の敵だからです。ロシア人の心に訴え、敵意をあおることができるので、それを今回の侵攻に利用しているのだと思います。

 第二次世界大戦で、ソ連は世界で最も多い2700万人が亡くなりました。独ソ戦で人々はナチスの恐怖を身に染みて感じたわけです。5月9日の対独戦勝記念日は亡くなった人を悼む日のはずですが、ソ連時代から国威発揚の場に利用してきました。

「ネオナチはこじつけ」

 ――ネオナチがこじつけとは、どういう意味ですか。

 ◆今、プーチン氏が問題にしているのは主に南東部マリウポリのネオナチだと思います。確かにあそこにはソ連崩壊後、ネオナチ的な人が一部にいたようです。それが自衛団のような組織となり、クリミア併合後、ウクライナの正式な国家警備隊となったわけです。

 プーチン氏がネオナチと言うなら、モスクワやサンクトペテルブルクなどロシアにもたくさんいました。プーチン氏がロシアにネオナチがいたことには何も触れずに、ウクライナのネオナチのことだけ言うのはおかしいと思います。

 ――ロシアのネオナチとはいつごろで、どんな主張をしていたのですか。

 ◆ロシアでネオナチ組織が最初に登場したのは…

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川口雅浩

経済プレミア編集部

1964年生まれ。上智大ドイツ文学科卒。毎日新聞経済部で財務、経済産業、国土交通など中央官庁や日銀、金融業界、財界などを幅広く取材。共著に「破綻 北海道が凍てついた日々」(毎日新聞社)、「日本の技術は世界一」(新潮文庫)など。財政・金融のほか、原発や再生可能エネルギーなど環境エネルギー政策がライフワーク。19年5月から経済プレミア編集部。