メディア万華鏡

ウクライナ問題のワイドショー「感想ならいらない」?

山田道子・元サンデー毎日編集長
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カンヌ国際映画祭の開会式でビデオ演説するウクライナのゼレンスキー大統領=フランス南部カンヌで2022年5月17日、AP
カンヌ国際映画祭の開会式でビデオ演説するウクライナのゼレンスキー大統領=フランス南部カンヌで2022年5月17日、AP

 「ロシアが瓦解(がかい)するまで、ウクライナの人は国外退避してもいいのではないか」。ロシアによるウクライナ侵攻に関して弁護士の橋下徹氏が3月、ワイドショーでこうコメントした。退避したらロシアの思うつぼでは? ロシアの瓦解、何を根拠に?と思った。ネットは大炎上した。

 別のワイドショーでは女性芸能人が、ウクライナから隣国に逃れた母子の映像にコメント。「子供を持つ母親としてつらいのはよく分かります。早く戦争が終わってほしいですね」。母親でなくても同じだろう。

 何を言うのも自由だ。が、ウクライナ侵攻ほど、ワイドショーのコメンテーターの存在や役割を考えさせられたことはなかった。

テレビプロデューサーの分析

 テレビプロデューサーの鎮目博道さんが「FRIDAYデジタル」(3月28日配信)で背景を分析している。

 鎮目さんによると、ワイドショーを作っているのは報道局ではなく、他の部局や地方テレビ局。映像などは報道局が取材したものなどを使わざるを得ない。映像に合わせた原稿を書くこともない。結果、「パネル解説」や「コメンテーターたちの感想」などに頼る。

 レギュラーコメンテーターはウクライナ、ロシア、戦争などに関する専門知識を持ち合わせていないことが多い。それでも「その人たちが『スタジオにいるからには、何かコメントせざるを得ない状況』に追い込まれている」と鎮目さんは言う。

埋め草にだけは……

 専門知識がなくても、うまく補えていることもある。だが、できないコメンテーターは単なる埋め草になる。サンデー毎日の編集長だった時、ワイドショーのコメンテーターをしていたことがある。政治など自分が取材してきた分…

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山田道子

元サンデー毎日編集長

1961年東京都生まれ。85年毎日新聞社入社。社会部、政治部、川崎支局長などを経て、2008年に総合週刊誌では日本で最も歴史のあるサンデー毎日の編集長に就任。総合週刊誌では初の女性編集長を3年半務めた。その後、夕刊編集部長、世論調査室長、紙面審査委員。19年9月退社。