スルガ銀行 不正の構図

スルガ銀不正「貸し倒れ引当金増額」は和解への準備か

今沢真・経済プレミア編集長
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オンラインで決算内容を説明するスルガ銀行の嵯峨行介社長=2022年5月13日
オンラインで決算内容を説明するスルガ銀行の嵯峨行介社長=2022年5月13日

スルガ銀不正融資の今(2)

 スルガ銀行の2022年3月期決算記者会見が5月13日に行われた。シェアハウス「かぼちゃの馬車」をめぐる不正融資で、河合弘之弁護士らが率いる「被害弁護団」に委託した購入者946人と借金帳消しで最終合意してから初の会見だった。嵯峨行介社長は不祥事をどう総括したのか。

 シェアハウス問題は18年に不動産会社の経営破綻で発覚した。その後、第三者委員会の不正調査や、金融庁の業務停止命令を経て、今年3月に購入者と最終的に和解するまで4年かかった。嵯峨氏は会見で記者からこの点を問われ、次のように答えた。

 「大変長い時間がかかったという中で、債務者(購入者)の方々にはご心配をおかけし、ご迷惑をおかけしてきたと理解しています」

 借金帳消しは総額1485億円、物件数は1213棟だった。嵯峨氏は問題発覚後に外部から経営に加わり、不正には関わっていないが、前例のない不祥事を起こした銀行のトップとして、946人に直接謝罪してもおかしくはない。だが、その場面は4年間で一度もなかった。

 嵯峨氏は被害弁護団とは別に、他の弁護士に委託した購入者がいると指摘し、そちらと22年度上半期中の集団和解を目指していることを明らかにした。それでシェアハウス問題への対応は終わる。

中古物件購入者の救済要求

 だが、スルガ銀行に借金帳消しを求めているのは、シェアハウス購入者だけではない。銀行から借金し中古賃貸マンション・アパートを購入した438人が、「シェアハウスと同じ不正があった。同様の救済を」と主張し、交渉を続けている。

 嵯峨氏は「シェアハウスの場合は非常に特殊な処理だ。『固有のリスクを見抜けず、審査体制上の問題があった定型的不法行為である』という東京地裁の判断に基づいたものだ」と強調。「これをアパート・マンション投資に対する解決策として一律に適用することは困難と考えている」と拒絶した。

 一方で嵯峨氏は「多くの方が解決を求めている状況なので、弁護団、債務者と話し合いながら、可能な限り速やかに問題解決に向かっていきたいという気持ちは持っている」とも述べた。だが、交渉が解決に向かうメドは立…

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今沢真

経済プレミア編集長

1983年毎日新聞入社。89年経済部。日銀・財研キャップ、副部長を経て論説委員(財政担当)。15年経済プレミア創刊編集長。19年から同編集部。22年4月に再び編集長に。16年に出版した「東芝 不正会計 底なしの闇」(毎日新聞出版)がビジネス部門ベストセラーに。ほかに「東芝 終わりなき危機」など。16~18年度城西大非常勤講師。