スルガ銀行 不正の構図

スルガ不正「借金を抱えた株主298人」株主総会で圧力

今沢真・経済プレミア編集長
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議案採決をめぐり大混乱した2019年のスルガ銀行の株主総会=19年6月26日(株主提供)
議案採決をめぐり大混乱した2019年のスルガ銀行の株主総会=19年6月26日(株主提供)

スルガ銀不正融資の今(3)

 スルガ銀行の不正融資が発覚し4年あまり。これまで毎年6月の株主総会で、不正の被害を受けた人々が株主として出席し、質問を経営者に浴びせ救済を求めてきた。シェアハウス問題の「借金帳消し」の決着に、その“圧力”は効果てきめんだった。いま、中古賃貸マンション・アパートの1棟物件の購入者が総会に向け新たな動きに出た。

 株主には会社法で定められた「株主提案権」がある。株主総会に議案を提出して議決を求める権利だ。出席株主の過半数の賛成で議案が可決されれば、経営者は議案の内容に従うことになる。

 議案を提出できるのは、総株主の議決権の1%以上、または300個以上の議決権を6カ月前から保有する株主だ。議決権300個は、スルガ銀行では3万株にあたる。同行の株価は1株400円前後で推移しており、この価格で購入すると1200万円前後になる。

集団で4万株以上を保有

 スルガ銀行に対して集団で「借金帳消し」を求めている中古賃貸マンション1棟物件の購入者は438人いる。このうちの有志が株式を購入した。さらに、シェアハウス問題ですでに株主になっていた人たちも加わった。

 全部で4万3800株が集まり、議案を提出できる3万株を上回ったという。株主数は298人。銀行との交渉を委任されている被害弁護団の中から、河合弘之弁護士が加わった。そして、スルガ銀行宛てに4月24日付で「株主提案権行使書」を提出した。

 会社法の手続きに基づく適法な提案と会社が認めれば、株主提出議案は、会社提案の議案とともに、株主に郵送する株主総会招集通知書に記載される。会社は、提出された議案に賛成か反対かを通知書に記載することが一般的だ。

嵯峨社長の取締役解任議案

 今回、298人は10議案を提出し、それぞれ「提案理由」を添付した。議案のうち第1に掲げたのは、「嵯峨行介社長の取締役解任議案」だ。

 解任を求める理由として、まず「2018年に出された金融庁の業務改善命令が解除されておらず、不誠実な対応を繰り返し、…

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今沢真

経済プレミア編集長

1983年毎日新聞入社。89年経済部。日銀・財研キャップ、副部長を経て論説委員(財政担当)。15年経済プレミア創刊編集長。19年から同編集部。22年4月に再び編集長に。16年に出版した「東芝 不正会計 底なしの闇」(毎日新聞出版)がビジネス部門ベストセラーに。ほかに「東芝 終わりなき危機」など。16~18年度城西大非常勤講師。