
会社員のA美さん(56)は東京都内で夫(会社員)と2人暮らしです。先日、地方で暮らす高齢の母親が転んでけがをしました。幸い大事には至りませんでしたが、いつ介護が必要になるかもしれないと痛感しました。
一人っ子のA美さんは、親の介護が必要になれば、仕事を辞めて帰省することも検討しなければならないのかと心配になり「離れて暮らす親の介護をどう考えればいいでしょうか」と相談に訪れました。
介護は「誰でも起こりうる」
高齢化が進むなか、介護保険の要介護(1~5)認定者は2025年に約600万人に達し、その後も増えると厚生労働省は推計しています。また、介護は、加齢によるものだけでなく、事故や病気が要因になることもあります。介護は誰にでも起こりうると考え、経済的な備えを考えておくことが必要でしょう。
まず、知っておきたいのは公的介護保険のしくみです。
介護保険は00年にスタートしました。それまでは、老人福祉・老人医療の2本立ての制度でしたが、介護が必要な高齢者が増えて限界となり、利用者がサービスを選べなかったり、医療費が増加したりする問題点がありました。そこで、高齢者の自立を支援し、介護を社会全体で支え合う新たな制度として導入されました。
介護保険は、市区町村が保険者となって運営しており、40歳以上の人が被保険者となって保険料を負担し、介護が必要になったらサービスを受けることができる相互扶助の社会保険です。
介護保険のサービスには、要介護1~5と認定された人が利用できる介護給付と、要支援1~2の認定者が利用できる予防給付があります。
利用者の選択により、介護サービスの利用相談やケアプラン…
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