
メディアドゥ藤田社長に聞く出版再生(上)
電子書籍取り次ぎ最大手のメディアドゥは、出版取り次ぎ大手のトーハンとの資本業務提携を2021年3月に発表し、同社の筆頭株主(5.56%)となった。電子書籍市場が拡大する一方、紙の出版は低迷し、全国で書店の閉店も相次ぐ。提携から1年がたつ今、メディアドゥは出版業界をどう変えようとしているのか、藤田恭嗣社長(48)に聞いた。
――メディアドゥの22年2月期連結決算は営業利益が前期比5.5%増の28.1億円と過去最高でした。売上高も初めて1000億円の大台を超えました。
◆一部書店の大型キャンペーンなどの影響もあり、売上高が初めて1000億円を超えることができました。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う「巣ごもり消費」により、マンガや書籍の電子版がよく読まれたことが業績を押し上げました。
――トーハンと提携から1年がたち、改めて提携の狙いは?
◆デジタル業界のメディアドゥがトーハンと提携することで、紙を含めた出版業界のデジタル化を進める足掛かりができればと考えました。この提携では(1)NFT(非代替性トークン=デジタルデータの作成者や所有者を証明する新技術)デジタル特典付きの出版物事業(2)書店での電子書籍販売など紙出版市場の活性化に向けた協業(3)電子図書館サービスの普及――の三つの事業を進める方針です。
――紙の本の書店を活性化するための秘策は何ですか。
◆まず「NFTデジタル特典付きの出版物」です。書店で売っている本にNFTを付けるということです。ブロックチェーン(分散型台帳)技術を基盤とするNFTを活用した新しいビジネスモデルです…
この記事は有料記事です。
残り1476文字(全文2174文字)