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54歳パート女性「厚生年金加入」年金額どれだけ増える

岩城みずほ・ファイナンシャルプランナー
 
 

 A実さん(54)は、会社員である夫の扶養内でパート勤務をしています。今春、子が大学を卒業し、授業料の支払いがなくなったため、これからは本格的に夫婦の老後資金の準備をしたいと考えています。

パートで働く人「厚生年金加入」が適用拡大に

 夫婦の公的年金見込み額は計月約22万円です。老後の生活費を月28万円とすると、貯蓄から月6万円を取り崩すことになります。老後を65歳以降の30年間とすれば、老後資金は2160万円必要です。

 A実さんは先日、勤務先から「2022年10月以降はパートでも厚生年金に加入できるようになる」と説明を受けました。保険料を負担することになりますが「将来受け取れる年金が増えるのなら、働く時間を増やすことなどを検討したい」と相談に訪れました。

 現在、パートで働く人が厚生年金に加入するには、(1)従業員数が501人以上の企業(2)週労働時間20時間以上(3)月収8万8000円以上(4)継続して1年以上働く見込み(5)学生ではない――の要件を全て満たす必要があります。

 この要件を見直し、厚生年金の適用が拡大します。22年10月からは、従業員数が「101人以上」、継続して働く期間が「2カ月超」になります。さらに、24年10月からは、従業員数が「51人以上」となり、対象者が広がります。

 厚生年金に加入すると、将来受け取れる年金額は増えるので、老後の安心につながります。

 働き方に応じてどのくらい年金額が増えるのかは、厚生労働省が4月に試験運用を始めた「公的年金シミュレーター」で試算できます。これまでも日本年金機構のネットサービス「ねんきんネット」で試算できましたが、セキュリ…

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ファイナンシャルプランナー

CFP認定者、社会保険労務士、MZ Benefit Consulting 代表取締役、オフィスベネフィット代表、NPO法人「みんなのお金のアドバイザー協会」副理事長。金融商品の販売によるコミッションを得ず、顧客本位の独立系アドバイザーとして、家計相談、執筆、講演などを行っている。著書に「結局、2000万円問題ってどうなったんですか?」(サンマーク出版)など多数。