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145円もある?日米金利差の次にくる「円安加速要因」

熊野英生・第一生命経済研究所 首席エコノミスト
急速に進む円安(6月13日には一時1ドル=135円台に)=東京都中央区で2022年6月13日、内藤絵美撮影
急速に進む円安(6月13日には一時1ドル=135円台に)=東京都中央区で2022年6月13日、内藤絵美撮影

 円安が再び加速している。日銀の金融緩和政策の継続が円安を促している面もあるが、筆者は、米国の長期金利(10年債金利)が3%を超えたことが主因だと考えている。

 この2~3年、ドル・円レートと米長期金利はほとんど連動しており、米長期金利が上昇するとドル高・円安が進んでいる。日本の長期金利はこのところずっと0%前後なので変数として考慮する必要がない。

 3月16日に米連邦準備制度理事会(FRB)は政策金利を引き上げたが、その後にドル・円レートも一気に円安に動いた。一時は落ち着きを見せたものの、6月に入って円安の動きが再加速している。6月13日には135円を突破し、その先は140円台という見方もある。

 日本が金融危機のさなかだった1998年には日本売りが起き、1ドル=140円台まで下落した。それ以来の140円台は起こり得るのだろうか。

米長期金利で説明できるドル・円レート

 伝統的な為替予測は、ドル・円レートの変化をうまく説明できるデータを探し出し、そのデータの先行きを仮置きして、ドル・円レートの予測値を導く方法である。日米金利差に物価を加味した実質金利差を使うこともある。筆者は前述したように…

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第一生命経済研究所 首席エコノミスト

1967年山口県生まれ。横浜国立大学経済学部卒業。90年、日本銀行入行。調査統計局などを経て、2000年、第一生命経済研究所入社。11年4月から現職。専門は金融政策、財政政策、金融市場、経済統計。