
現在の円安は長期化しそうである。その場合、日本経済にはどのような変化が起こるのだろうか。
円安のメリットとして、製造業の国内回帰が起こり、貿易黒字が増えることはありうるだろう。逆にデメリットとして、海外投資家による日本企業の買収が活発化するかもしれない。輸入物価の上昇は困るが、企業にとっては外資に買収されるリスクも怖いのではないか。
時価総額100億円の企業は、1ドル=100円の時は1億ドルの買収コストだったものが、1ドル=135円になれば、約7400万ドルに下がる。円安によって、日本企業の買収コストが下がるのは不都合なことだと思える。
日本は「お買い得」ではない
では海外投資家にとって、日本企業は本当に「お買い得」なのだろうか。投資の評価は、投資リターンが十分に高いかどうかで変わってくる。
海外投資家による日本への投資資金の流れをみると、対日株式投資は2014年をピークに、極めて低調である。
安倍晋三首相が就任した当初の13~14年は、アベノミクスという言葉が流行し、このときの対日株式投資は年間15兆円まで膨らんだ。ところが、18~20年は平均すると売り越しになり、21年は買い越しに転じたものの2兆円程度の少ない額だった。14年を境に対日株式投資は低迷しているのが実情である。
日本への実物投資を表す対内直接投資も、ここ数年間は年間2兆~8兆円と多くない。海外企業の日本進出は、…
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