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「テスラが馬車と併走」米国アーミッシュの村を歩く

川口雅浩・経済プレミア編集長
米国ペンシルベニア州のフィラデルフィアでもテスラを多く見かけた=2022年7月6日、川口雅浩撮影
米国ペンシルベニア州のフィラデルフィアでもテスラを多く見かけた=2022年7月6日、川口雅浩撮影

米国で見たテスラ最新事情(2)

 米国の電気自動車(EV)「テスラ」がニューヨーク(NY)で急増しているのを現地で確かめた筆者は、米国の地方都市も訪れてみることにした。流行の先端を走り、富裕層が多いマンハッタンに比べ、米国では地方に行くほどEVは少なくなるという。果たして本当なのだろうか。

 「米国人は1日で400~500キロの移動であれば自動車を使います。高速道路の移動距離が長く、地方に行くほど充電設備が少なくなるEVは、米国社会ではあまり使い勝手がよいとは言えません」

 日本の政府系機関のNY駐在員は、筆者にこう説明してくれた。一般にEVは航続距離の短さと充電時間の長さが弱点だ。筆者はこれまで日本で「日産リーフ」や「テスラ・モデル3」に試乗し、メーカーがこの問題をどう克服しようとしているかリポートしてきた。

 筆者が2019年8月に試乗したテスラ・モデル3は、満充電で高速道路を450キロほど走ることができた。航続距離に問題はないが、高出力の急速充電器がなければ、使い果たした電池を満充電するには時間がかかる。NYのような都市部なら問題なくても、郊外の高速道路や地方では充電設備も少ないため、さすがのテスラも台数が少なくなるのではないか。

 勝手にそんな想像をしながら、高速バスでNYからニュージャージー州を抜け、ペンシルベニア州のフィラデルフィアを目指した。

販売店なくとも普及

 バスの車窓から高速道路を走るクルマを眺めて驚いた。高速道路(95号線)にはテスラが少ないながらも走っている。ざっと100台に1台くらいの割合で、途切れることはない。

 NYから離れるほど、テスラは少なくなるが、…

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経済プレミア編集長

1964年生まれ。上智大ドイツ文学科卒。毎日新聞経済部で財務、経済産業、国土交通など中央官庁や日銀、金融業界、財界などを幅広く取材。共著に「破綻 北海道が凍てついた日々」(毎日新聞社)、「日本の技術は世界一」(新潮文庫)など。財政・金融のほか、原発や再生可能エネルギーなど環境エネルギー政策がライフワーク。19年5月から経済プレミア編集部。