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退職時の「企業型DCそのまま」はデメリットだらけ

岩城みずほ・ファイナンシャルプランナー
 
 

 会社員のA子さん(44)は近く、退職してフリーランスになる予定です。現在の勤務先では企業型の確定拠出年金(DC)に加入しており、その資産を個人型DCの「iDeCo(イデコ)」に移して運用を続けたいと考えています。「その手続きなどについて知りたい」と相談に訪れました。

資産の「持ち運び」で運用継続

 DCは公的年金に上乗せする私的年金で、企業が従業員のために用意する企業型DCと、個人が任意で加入するイデコがあります。企業や加入者自身が拠出した掛け金を、加入者が自らの判断で運用します。運用結果次第で、老後に受け取る額が変わります。

 DCは個人ごとに資産が管理されているため、転職や離職をしても、積み立ててきた資産を持ち運んで継続することができます。資産を持ち運ぶことを「ポータビリティー(移換=いかん)」といいます。企業型DCと企業型DCの間、企業型DCとイデコの間で移換ができます。

 ただし、勤続年数が3年未満の場合、企業型DCの年金規約によっては、資産を会社に返還しなければならない場合があります。

 企業型DCからイデコに移換するケースは、A子さんのようにフリーランスになって国民年金の第1号被保険者となる場合や、専業主婦(夫)として第3号被保険者になる▽企業型DCのない企業に転職する▽公務員に転職する――などの場合が該当するでしょう。

退職後「6カ月以内」に忘れず手続きを

 年金資産の移換には、移換手続きが必要になります。企業型DCの加入者資格は退職日翌日に喪失します。移換手続きは、資格を喪失した月の翌月から起算して6カ月以内に行う必要があります。

 移換先となるイデコ運用管理機関の金…

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ファイナンシャルプランナー

CFP認定者、社会保険労務士、MZ Benefit Consulting 代表取締役、オフィスベネフィット代表、NPO法人「みんなのお金のアドバイザー協会」副理事長。金融商品の販売によるコミッションを得ず、顧客本位の独立系アドバイザーとして、家計相談、執筆、講演などを行っている。著書に「結局、2000万円問題ってどうなったんですか?」(サンマーク出版)など多数。