
中国の電気自動車(EV)メーカー「比亜迪(BYD)」が7月21日、日本の乗用車市場に進出すると発表した。今年はトヨタ自動車とSUBARU(スバル)が共同開発したEVを発売。日産自動車と三菱自動車工業も共同開発の軽EVを発売するなど、日本メーカーがEVで攻勢をかけている。そこに中国メーカーが“黒船”として参入することで、市場に地殻変動をもたらすのだろうか。
「私たちの調査では日本の消費者の30%がEVを買う用意があると回答している。EVは価格が高い、充電する場所が少ない、航続距離が短いなどと言われるが、BYDの高い安全性と航続距離、手の届きやすい価格で日本市場に参入したい」
BYDの日本法人「BYDジャパン」の劉学亮社長は21日の発表記者会見で、こう力を込めた。日本は中国、米国に次ぐ世界第3位の自動車市場だが、EV普及では出遅れている。新興のEVメーカーにとって、未開拓の日本市場には大きな魅力があるようだ。
電池生産から世界No2のEVメーカーに
BYDは1995年、中国・深圳で電池メーカーとして創業。2000年代初頭に当時の大手携帯電話メーカー・モトローラやノキアがリチウムイオン電池を採用したことで業績を伸ばし、03年に中国国営の自動車メーカーを買収して自動車産業に進出した。
得意とする電池やモーターの制御技術を生かして09年からEVを生産。中国が「新エネルギー車」と呼ぶEVやプラグインハイブリッド車などの22年1~6月の世界販売台数は64万台。EVはこのうちの約半数とみられ、首位の米テスラ(56万台)に次ぐ規模となっている。
今回、BYDが日本市場に投入するのは、ミドルサイズのスポーツタイプ多目的車…
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