
米連邦準備制度理事会(FRB)は7月27日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利(短期金利)を0.75%引き上げて、金利水準のレンジを2.25~2.50%とした。今年4回目の利上げとなる。米国の景気後退リスクは一段と高まり、日本経済もそれに引きずられて、景気後退に陥る可能性がある。
あったはずの需要が消える
世界的な景気悪化は、FRBの利上げによるものだとする見方がある。しかし、原因はそれだけではなく、国際通貨基金(IMF)や経済協力開発機構(OECD)の見方にもあるように、世界経済は2021年央から悪化傾向にある。ITなどの生産活動は循環的な動きとしてのピークアウトに達し、徐々に在庫が積み上がる変化が見られる。
IT分野では、21年から現在に至るまで半導体不足に悩まされてきた。今でも私たちが家電製品を買おうとすると、店頭に在庫がなくて入荷待ちとなることが少なくない。在庫不足だから、需要は旺盛なはずだと思ってしまう。しかし、景気循環には不思議な側面があり、いったんそれが起きると、今まで存在した需要があっという間に消え、入荷待ちの行列もなくなってしまうことがある。
米国の利上げは、世界中に存在したはずの需要を消滅させ、経済活動を停滞させてしまうことが怖い。すでに、米利上げはボディーブローのように世界経済の体力を奪っている。
つい1カ月ほど前まで、インフレ傾向が当たり前と見て…
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