
7月に入ったころから、新型コロナウイルスの感染拡大第7波が襲ってきた。第7波の新規感染者数の山は、第6波のピークを上回っている。感染者の中には3回目のワクチンを打った人や、以前に感染した人も多く含まれている。
ワクチンを打ったから、もしくはすでに感染したから大丈夫などとはとても言えない。第7波は、国民の大多数がワクチンを打っていれば、集団免疫ができて感染が収束するという期待を打ち砕いた。
本当の「ウィズ・コロナ」とは
今はコロナ禍で苦しんでいても、いずれは通り過ぎ、「アフター・コロナ」の平和な世界が来るという認識が少し前まであった。しかし、コロナが完全に消えてなくなる世界は、当分来ないだろう。インフルエンザの流行のように毎年新しい変異株が出現し、それを前提にして社会活動を動かすような体制が必要になる。それが今後の「ウィズ・コロナ」の世界観ではないか。
そこで必要なことは、いくつかある。その代表は、医療体制をもっと大胆に拡充することだ。迅速な医療アクセスを確保するために、感染者を振り分けるルールづくりも整備しなくてはならない。
現在、コロナの区分を感染症法の2類相当から5類相当に変更して、全数把握の責任から医療を解放すべきだという意見が強い。半面、5類相当になると検査・治療の公費負担が全額ではなくなってしまう。2類でも5類でも既存の区分では不都合が残る状況だ。
この議論の中で、何よりも医療体制を理由に挙げている点は、いまだに天動説を唱える人のように感じられて、筆者は違和感を覚える。2年半前にコロナ禍が始まったころから、医療のキャパシティーを拡充すべきだと主張してきた。政府は果…
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