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「半世紀前のトラウマ」FRBがインフレ退治を急ぐワケ

平野純一・経済プレミア編集部
急ピッチで利上げを行うFRB(記者会見するパウエルFRB議長)=2022年7月27日、AP
急ピッチで利上げを行うFRB(記者会見するパウエルFRB議長)=2022年7月27日、AP

 「米連邦準備制度理事会(FRB)は1970年代の失敗を意識している」。長年にわたり米国の金融政策をウオッチしている三菱UFJモルガン・スタンレー証券の森山昌俊シニアエコノミストはこう指摘する。米国で進むインフレを抑えるため、FRBが急ピッチで金利を上げている。利上げはいつまで続くのか。厳しい景気後退に陥る危険性はないのか。森山氏に聞いた。

 --FRBは7月27日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.75%の利上げを行いました。異例の速さで利上げを進めています。

 ◆FRBは今年4回利上げをし、短期金利の指標のFF(フェデラルファンド)金利の誘導目標を、7月は2.25~2.50%にしました。景気を熱しも冷やしもしない「中立金利」は2.5%(FOMC参加者による予想の中央値)で、ようやくこの水準に達しました。

 パウエルFRB議長も、これまでは中立金利を下回っていたので利上げを急ぎましたが、中立に達したので、今後は金融政策の方針を前もって示す明確なフォワードガイダンスを出さず、1回の会合ごとにインフレ率や雇用などさまざまなデータを見ながら柔軟に判断していくとしています。

利上げは年末でいったん終了か

 --ペースは落としても、利上げはまだ必要ということですね。

 ◆そう思います。7月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比8.5%上昇と、6月の上昇率9.1%からやや低下しましたが、なお約40年ぶりの高い水準です。7月は非農業部門の雇用者数が前月比52万8000人増で、市場予想の25万8000人増を大幅に上回りました。賃金も同0.5%上昇し、過剰な労働需要を抑えて賃金の伸びを低下させるた…

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経済プレミア編集部

1962年生まれ。87年毎日新聞社入社。盛岡支局、サンデー毎日編集部、経済部、エコノミスト編集部などを経て2016年から現職。金融、為替、証券、マクロ経済などを中心に取材。