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中国「BYD」のEV電池を日産やテスラと比べてみた

川口雅浩・経済プレミア編集長
中国のBYDが来年1月に日本で発売する「ATTO 3(アットスリー)」=横浜市内で2022年8月4日、川口雅浩撮影
中国のBYDが来年1月に日本で発売する「ATTO 3(アットスリー)」=横浜市内で2022年8月4日、川口雅浩撮影

中国のBYDで走ってみた(2)

 中国の電気自動車(EV)メーカー「比亜迪(BYD)」が日本で2023年1月に発売するスポーツタイプ多目的車(SUV)「ATTO 3(アットスリー)」に横浜市内で試乗した。市街地を走る限り、実用的な走行性能は申し分なかった。ではEVの弱点であるリチウムイオン電池の充電時間や経年劣化などはどうか。BYDは日産自動車や米テスラに比べ優位性があるのだろうか。

 アットスリーのリチウムイオン電池の容量は58.56キロワット時、1回の満充電で走ることができる航続距離は485キロだ。これは日産の「リーフe+」や「アリアB6」、テスラの「モデルY」とほぼ同じだ。リチウムイオン電池をたくさん積めば航続距離は伸びるが、クルマが重くなるほか、満充電まで時間がかかるデメリットがある。

 日本で発売するアットスリーは、日本発祥の「CHAdeMO(チャデモ)」と呼ばれる急速充電方式で充電できる。

 日本の高速道路のサービスエリアや商業施設などにあるチャデモ方式の急速充電器は最大出力20~50キロワットが主流だが、最近はさらに高出力の充電器が登場している。EVの電池が高出力充電に対応できれば、充電時間を短縮できるからだ。

数字では見劣りしても

 アットスリーの電池は最大出力85キロワットまで急速充電に対応できる。中国では80キロワットと85キロワットの2仕様があるという。

 これに対し、日産のリーフe+は最大出力100キロワット、アリアは最大130キロワットまで対応する。トヨタ自動車の「bZ4X」とSUBARU(スバル)の「ソルテラ」は最大150キロワットだ。トヨタは150キロワットの急速充電器なら「30分で電池の80%まで充電できる」と説明する。航続距離が30分で400キロほど回復する計算だ。

 この点、テスラは先行しており…

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経済プレミア編集長

1964年生まれ。上智大ドイツ文学科卒。毎日新聞経済部で財務、経済産業、国土交通など中央官庁や日銀、金融業界、財界などを幅広く取材。共著に「破綻 北海道が凍てついた日々」(毎日新聞社)、「日本の技術は世界一」(新潮文庫)など。財政・金融のほか、原発や再生可能エネルギーなど環境エネルギー政策がライフワーク。19年5月から経済プレミア編集部。