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住宅ローン競争で多様化「疾病補償付き団信」は必要?

岩城みずほ・ファイナンシャルプランナー
 
 

 会社員のA太さん(38)は、銀行で住宅ローンを組むことを予定しています。銀行の担当者からは、ローン返済中に働けなくなった場合に備え、疾病補償付き団体信用保険(団信)に加入することを勧められました。団信のタイプは複数あり、補償内容もさまざまです。A太さんは「どう選べばよいか迷っています」と相談に訪れました。

ローン競争激化で「補償が多様化」

 団信は、住宅ローンを借りる人が返済途中で亡くなったり、生活に重大な支障をきたす高度障害になったりした場合、保険会社が保険金を支払い、ローン残高がゼロになります。民間金融機関から住宅ローンを借りる場合、原則として団信への加入が条件となります。

 疾病補償付き団信は、団信に上乗せして補償を広げるもので、特定の病気になると、月々の返済が肩代わりされたり、残債が免除されたりします。

 国内では2001年、がんと診断された場合のローン残高がゼロになるがん補償付きの提供が始まり、その後、他の疾病にも補償が広がり、補償内容も多様化しています。

 この背景には、銀行間の住宅ローン競争が激しくなっていることがあります。住宅ローン金利が大きく下がり、金利引き下げ余地が狭まっていることから、差別化のため、疾病補償を競うようになっているためです。

 商品性が多様化するのに伴い、17年ごろから、団信についての相談が増えました。保険金が支払われる条件も複雑になり、A太さんのように「選ぶのが難しい」という声をよく聞きます。

金融機関ごとに「補償や条件」にばらつき

 例えば、ある銀行の「8大疾病補償」タイプの補償内容や条件を見…

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ファイナンシャルプランナー

CFP認定者、社会保険労務士、MZ Benefit Consulting 代表取締役、オフィスベネフィット代表、NPO法人「みんなのお金のアドバイザー協会」副理事長。金融商品の販売によるコミッションを得ず、顧客本位の独立系アドバイザーとして、家計相談、執筆、講演などを行っている。著書に「結局、2000万円問題ってどうなったんですか?」(サンマーク出版)など多数。