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日本参入の中国BYD「EVの安売りしない」強気の戦略

川口雅浩・経済プレミア編集長
毎日新聞のインタビューで「EVの価値を正当に評価していただきたい」と述べるBYDジャパンの劉学亮社長=横浜市内で2022年8月4日、川口雅浩撮影
毎日新聞のインタビューで「EVの価値を正当に評価していただきたい」と述べるBYDジャパンの劉学亮社長=横浜市内で2022年8月4日、川口雅浩撮影

中国からEV輸入「BYDジャパン」社長に聞く(上)

 「比亜迪(BYD)のブランド力は日本ではほとんどありません。とはいえ、電気自動車(EV)の価値を日本でも正しく評価していただく必要があります」。中国のEVメーカーBYDの日本法人「BYDジャパン」の劉学亮社長(50)はこう話す。日本で2023年1月からEVの乗用車を発売する同社の劉社長に日本進出の狙いと「安売りはしない」理由を聞いた。

 ――BYDは1995年、中国・深圳で電池メーカーとして創業。03年に中国国営の自動車メーカーを買収して自動車産業に進出し、09年からEVを生産していると聞きます。中国の自動車メーカーが日本に本格的に進出するのは初めてです。なぜ今、日本なのですか。

 ◆BYDはEVが注目されていますが、元々は電池とITのメーカーで、携帯電話やノートパソコンといった電子機器の電池や部品製造から始まりました。現在は多岐にわたる事業を行っていますが、基本は電池を中心としたビジネスです。

 日本では15年から電気バスや電気フォークリフトを法人向けに販売しています。そこで今回は、日本の消費者が多くの選択肢から乗用車を選べるよう、私たちの最新のEVを持ってこようと考えました。

エンジン車の生産は終了

 ――22年1~6月の世界のEVの販売台数は米テスラが56万台で首位。BYDは32万台で世界2位と聞きます。現在はEVとプラグインハイブリッド車(PHV)を生産しているそうですが、ガソリンエンジン車の生産はいつやめたのですか。

 ◆EVの世界販売の数字はあまり気にしていませんが、中国ではうちがトップです。エンジン車の生産は今年の3月にやめました。30年までにエンジン車の生産をやめると宣言した自動車メーカーはたくさんありますが、実際に生産をやめたのは…

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経済プレミア編集長

1964年生まれ。上智大ドイツ文学科卒。毎日新聞経済部で財務、経済産業、国土交通など中央官庁や日銀、金融業界、財界などを幅広く取材。共著に「破綻 北海道が凍てついた日々」(毎日新聞社)、「日本の技術は世界一」(新潮文庫)など。財政・金融のほか、原発や再生可能エネルギーなど環境エネルギー政策がライフワーク。19年5月から経済プレミア編集部。