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中国BYDジャパン社長「テスラはライバルでなく仲間」

川口雅浩・経済プレミア編集長
中国のBYDが来年1月に日本で発売する電気自動車「ATTO 3(アットスリー)」=横浜市内で2022年8月4日、川口雅浩撮影
中国のBYDが来年1月に日本で発売する電気自動車「ATTO 3(アットスリー)」=横浜市内で2022年8月4日、川口雅浩撮影

中国からEV輸入「BYDジャパン」社長に聞く(下)

 「電気自動車(EV)中心の社会が実現するまで、ライバルの存在は考えていません。米テスラは仲間だと思っています」。中国のEVメーカー「比亜迪(BYD)」の日本法人「BYDジャパン」の劉学亮社長(50)はこう話す。どういうことなのか。2023年1月から日本でEVの乗用車を発売する劉社長にBYDのライバルについて聞いた。

 ――世界的にBYDのライバルはテスラではないかと思いますが、いかがでしょうか。

 ◆これはよく聞かれます。テスラはいろんなイノベーションを興せる会社であり、テスラのお陰で世界がEVに注目したのも事実です。我々は大いに勉強するところがあります。

 BYDは電池から始めた会社です。世界のEVメーカーの中で電池から始めた会社はBYDだけです。私たちの電池は一朝一夕にできた製品ではありません。二十数年間、研究開発を重ねた結果です。クギを刺しても爆発しないなど、世界で最も安全性の高い電池と自負しています。

 ――BYDがテスラより優れているところは、どんなところでしょうか。

 ◆電池だけでなく、モーター、コントローラーといった主要部品を自社で開発し、生産していることが私たちの強みです。電池はもちろん重要ですが、電池だけでEVができるわけではありません。電池メーカーとして、電池の進化に合わせ、モーターなど主要部品にも必要な工夫を凝らすことができます。

「EV社会の実現」を優先

 ――世界にライバルはあるのでしょうか。

 ◆ライバルはあまり考えていません。EVを中心とする社会や産業がまだ出来上がっていないからです。私たちはEVが社会に根付き、産業として成り立ってから、正しく競争していくのが…

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経済プレミア編集長

1964年生まれ。上智大ドイツ文学科卒。毎日新聞経済部で財務、経済産業、国土交通など中央官庁や日銀、金融業界、財界などを幅広く取材。共著に「破綻 北海道が凍てついた日々」(毎日新聞社)、「日本の技術は世界一」(新潮文庫)など。財政・金融のほか、原発や再生可能エネルギーなど環境エネルギー政策がライフワーク。19年5月から経済プレミア編集部。