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資産所得倍増「イデコ改革」に立ちはだかる不公平問題

渡辺精一・経済プレミア編集部
 
 

資産所得倍増プランの「NISAとイデコ」(3)

 政府は年末に策定する「資産所得倍増」プランの柱の一つに個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)制度の改革を挙げる。イデコは現役世代なら誰でも加入できるようになり、加入者が急増している。使い勝手を高める改革は歓迎されそうだ。だが、イデコの枠組みは、公的年金制度や企業の退職金制度と連動しており、改革のハードルは意外に高い。

イデコは「老後資金づくりの国民的制度」へ

 確定拠出年金(DC)は公的年金に上乗せする私的年金で、税制上のメリットが大きい。掛け金を個人ごとに区分し、加入者が運用の方法を指図する。働き方や勤務先により加入できるタイプが決まる。会社が従業員のために用意する企業型DCと個人が任意で加入する個人型のイデコがある。

 企業型DCは、会社が運営する退職金制度の一種だ。会社が掛け金を拠出し、従業員が運用を指図する。

 イデコは、国民年金に上乗せする「2階部分」の位置づけで、個人が金融機関に口座を設け、自分で掛け金を出して運用する。

 DCは2001年にスタートした。その狙いは企業年金制度の立て直しにあった。それまでの企業年金は、会社が将来の給付を約束する確定給付型だったが、バブル崩壊後、運用環境の悪化で積み立て不足に陥り、経営を圧迫するようになった。そこで、企業は掛け金を拠出するだけで、加入者が運用リスクを担う企業型DCを導入した。

 イデコは当初、企業型DCを補完する位置づけで、加入できるのは自営業者や企業年金のない会社員に限っていたが、その後の改革で利用の幅を広げた。

 17年には専業主婦や公務員も対象となり、20歳以上60歳未…

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経済プレミア編集部

1963年生まれ。一橋大学社会学部卒、86年毎日新聞社入社。大阪社会部・経済部、エコノミスト編集次長、川崎支局長などを経て、2014年から生活報道部で生活経済専門記者。18年4月から現職。ファイナンシャルプランナー資格(CFP認定者、1級FP技能士)も保有。