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iPhone 14で始まる「衛星通信」KDDI・NTTも参入検討

石野純也・ケータイジャーナリスト
スターリンクとASTスペースモバイルの衛星を載せて米フロリダ州ケネディ宇宙センターから打ち上げられたスペースXのロケット=2022年9月10日、AP
スターリンクとASTスペースモバイルの衛星を載せて米フロリダ州ケネディ宇宙センターから打ち上げられたスペースXのロケット=2022年9月10日、AP

 iPhone 14シリーズが対応したことで、にわかに注目を集めているのが衛星通信だ。衛星とスマートフォンが直接つながる仕組みで、基地局がないエリアでも通信が可能になる。今回iPhone 14は、遭難時などに緊急SOSとして短いメッセージや位置情報を送ることを可能にした。

緊急時にSOSを衛星経由で送る

 当初は米国とカナダにサービスは限定され、11月から始まる予定。日本で販売するiPhoneもこの通信に対応しているため、日本の利用者が米国やカナダに出張した際には有効になる。米国のグローバルスター社の衛星を利用して行うが、利用料は2年間無料だ。

 衛星は地上の基地局よりはるかに距離が遠いため、電波が弱くなる。そのため、衛星経由の通信は、メッセージを圧縮するなどして、データのサイズを最小限まで落として送る。衛星の方向に本体を向けて通信状態をよくするアプリも用意した。SOS通信は、衛星から地上の中継センターを経由して、警察や消防などの緊急対応機関に送られる。

 衛星を介して通信する、いわゆる衛星電話は以前からある。主に法人利用が対象で、大手企業や行政機関などが、災害時などの緊急連絡に利用している。ただ、専用の端末が必要で一般の利用者には普及していない。iPhoneという普通のスマホが対応したことは、大きな進展だ。

楽天は音声通話も目指す

 アップル以外も衛星通信には高い関心を示している。中…

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ケータイジャーナリスト

1978年、静岡県生まれ。慶応義塾大学総合政策学部卒。2001年、宝島社に入社。当時急速に利用者数を伸ばしていた携帯電話関連のムック編集に携わる。05年には独立してフリーランスのジャーナリスト/ライターに転身。通信事業者、携帯電話メーカー、コンテンツプロバイダーなどを取材、幅広い媒体に原稿を執筆する。業界動向を記したビジネス書から、端末の解説書まで著書も多い。