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日産サクラ好調でも「EV補助金」10月に終了?のナゼ

川口雅浩・経済プレミア編集長
日産が発売した軽自動車のEV「サクラ」=神奈川県横須賀市で2022年5月11日、福富智撮影
日産が発売した軽自動車のEV「サクラ」=神奈川県横須賀市で2022年5月11日、福富智撮影

 電気自動車(EV)などを購入する際、政府が支給する補助金の2022年度の受け付けが10月下旬にも終了する見通しとなった。脱炭素化に向け、政府が普及を目指すEVの補助金が年度途中で終了するとなれば異例だ。一体どういうことなのか。

 この補助金は「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」で、EVとプラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)などを購入した場合が対象となる。EVは最大85万円(軽EVは55万円)、PHVは同55万円、FCVは同255万円が国から支給される。

 経済産業省と一般社団法人「次世代自動車振興センター」は9月16日、21年度補正予算と22年度当初予算で確保した約430億円の予算額のうち、約8割を使い切り、予算残高が約105億円(9月12日時点)になったと発表した。予算額に達した場合、補助金は終了するため、このペースで推移すると「申請の受け付けは10月下旬から月末を目処に終了する見込みだ」という。

 経産省などは8月2日にも、補助金の予算残高(7月25日時点)が約177億円となり、10月末をめどに受け付けを終了する見込みだと発表。9月2日には残高が約126億円(8月29日時点)になったとしていた。「終了の見込みは、今後の申請状況や予算残額によって前後する可能性がある。消費者や自動車販売店から問い合わせが相次いでいる」(同センター)という。

軽EV人気で申請殺到?

 補助金の予算が枯渇しそうなのは、日産自動車が6月に発売した軽のEV「サクラ」が人気で、補助金の申請が殺到したためとみられる。サクラは日産が三菱自動車と共同開発し、軽では三菱自の09年発売の「アイミーブ」以来、久しぶりの軽EVとなった。同センターは「サクラはじめ、国産車、輸入車とも対象車が増え、想定以上に…

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経済プレミア編集長

1964年生まれ。上智大ドイツ文学科卒。毎日新聞経済部で財務、経済産業、国土交通など中央官庁や日銀、金融業界、財界などを幅広く取材。共著に「破綻 北海道が凍てついた日々」(毎日新聞社)、「日本の技術は世界一」(新潮文庫)など。財政・金融のほか、原発や再生可能エネルギーなど環境エネルギー政策がライフワーク。19年5月から経済プレミア編集部。