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極端に物価安の日本「佐世保バーガー」に学ぶ成功の鍵

熊野英生・第一生命経済研究所 首席エコノミスト
高級バーガー店が増えている……
高級バーガー店が増えている……

 日本は、極端な円安が進んでいることで輸入物価が上昇し、これに押される形の物価高に苦しんでいる。しかし驚くべきことに、海外と比較すると、日本はまだ物価が極端に安い国に変わってしまう。

 消費者物価(総合)の上昇率(8月)は、米国8.3%、ユーロ圏9.1%に対し日本は3.0%(除く生鮮食料品は2.8%)と、海外のインフレの方がすごくて、日本はまだましということになる。

ビッグマック価格で日本は41位

 そのようななか、最近、筆者が驚いたのは、英誌「エコノミスト」が発表しているビッグマック指数のランキング(2022年7月)で、54カ国・地域中、日本が41位まで落ちたことだ。

 ビッグマック1個の価格は、1位スイス(6.71ドル)▽2位ノルウェー(6.26ドル)▽3位ウルグアイ(6.08ドル)▽4位スウェーデン(5.59ドル)▽5位カナダ(5.25ドル)――と続く。アメリカは6位で5.15ドル、ユーロ圏は10位で4.77ドル、中国は31位(3.56ドル)、韓国は32位(3.50ドル)、そして日本は41位(2.83ドル)である。ドル建ての日本の価格は米国の半値近くになる。

 前提となる為替レートは1ドル=137.87円で、現在のレートだとさらに差が開く。ただ、この順位は為替が大きく関係している。かつての日本のようにもっと円高だったら、ここまで順位は低くならない。仮に、1ドル=100円で計算すると…

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第一生命経済研究所 首席エコノミスト

1967年山口県生まれ。横浜国立大学経済学部卒業。90年、日本銀行入行。調査統計局などを経て、2000年、第一生命経済研究所入社。11年4月から現職。専門は金融政策、財政政策、金融市場、経済統計。