
岸田文雄首相が原発の新増設など原子力政策の見直しを表明する中、核燃料サイクルをめぐる計画の先送りが相次いでいる。日本原燃は9月7日、青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場の完成時期を2022年9月から、再び延期すると発表した。
六ケ所村の再処理工場は1993年に着工し、当初は97年に完成するはずだった。ところがトラブルが相次ぎ、完成の延期は今回で26回目。しかも、今回は次の完成目標時期を示すことができず、迷走ぶりが際立った。同社は「原子力規制委員会に提出する申請書に記載すべき事項の整理や、技術的な課題の説明に時間を要した」と説明している。
さらにJパワー(電源開発)は9日、青森県大間町で建設中の大間原発について、安全対策工事の開始時期をこれまでの22年後半から2年延期し、24年後半に変更すると県と町に報告した。工事開始の延期は5回目となる。
大間原発は六ケ所村で再処理したウランとプルトニウムを混ぜて加工した「ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料」を使う「プルサーマル発電」専用の設計で、全炉心でMOX燃料を使う世界初の商業原発を目指している。いずれも政府と電力会社が国策として進める核燃料サイクルの中核施設だが、計画通りに進まない不都合な現実を物語っている。
青森県知事「遺憾通り越し驚がく」
核燃料サイクルは、原発の使用済み核燃料を日本原燃の六ケ所村の工場で再処理し、取り出したウランとプルトニウムを原発で再利用しようとするものだ。日本原燃は東京電力ホールディングスなど大手電力会社が出資する再処理や核燃料加工の会社だ。
日本原燃の増田尚宏社長は7日、青森県庁を訪れ、三村申吾知事に「22年度上期としていた完成時期は残念ながら達成できず、見直さざるを得ない。新たな完成時期は公表を年内とすることを決めた」と陳謝した。三村知事は「新たな完成時期が示されず、遺憾を通り越すぐらい驚がくしている」と苦言を呈した。
その後、増田社長は…
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