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孫正義氏の救世主?「英アーム」売却から上場へ

山口敦雄・経済部
記者会見でアームへの思いを語るソフトバンクグループの孫正義会長兼社長=東京都港区で2022年2月8日、後藤豪撮影
記者会見でアームへの思いを語るソフトバンクグループの孫正義会長兼社長=東京都港区で2022年2月8日、後藤豪撮影

ソフトバンクグループ経営の実態(3)

 ソフトバンクグループ(SBG)は2022年4月~6月期に四半期で国内最悪の約3.2兆円の最終(当期)赤字を出したが、その反転攻勢の柱が、子会社の英半導体開発大手アームだ。孫正義会長兼社長も「新たな成長エンジンは間違いなくアーム」と強調している。

 アームはSBGが2年前、米半導体大手エヌビディアに売却すると発表した。ところが欧米など主要国の規制当局から承認が下りず今年2月、売却を断念した。やむなく残ったアームがSBGの救世主になるのか。

エヌビディアに売却を発表

 SBGは16年7月にアームを約3兆3000億円で買収した。日本企業の海外企業の買収では当時、史上最高額。ロンドンで記者会見した孫氏は「大きな賭けだが、次の大きなパラダイムシフトはIoT(モノのインターネット)になる」と強調した。

 アームは半導体の製造工場を持たず研究開発に特化した会社だ。開発する半導体は省エネ性能に優れ米アップルのiPhoneに採用されるなどスマートフォンで9割超の寡占的な位置を占める。米アマゾンのクラウドサービス「AWS」にも採用され、自動車の自動運転支援機能など活用の幅が広がっている。

 SBGは当初、将来的に上場させる戦略だった。ところが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響でSBGの株価が急落し、20年3月に最大4.5兆円の資産を1年かけて売却して有利子負債の圧縮に努める方針を打ち出す。

 その流れのなかで、SBGは同9月にアームの全株式を最大400億ドル(当時の為替相場で4.2兆円)でエヌビディアに売却すると発表した。財務を改善し、売却資金の一部をエヌビディ…

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経済部

1974年生まれ。明治学院大法学部卒、同大大学院経営学修士。ビジネス誌「週刊エコノミスト」編集部記者、毎日新聞出版図書第二編集部編集長、学芸部記者を経て現職。著書に「楽天の研究」(毎日新聞社)がある。