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西九州新幹線は長崎空港と連携で「観光コンテンツ」に

鳥海高太朗・航空・旅行アナリスト
長崎駅を出発する西九州新幹線「かもめ」=2022年9月23日(代表撮影)
長崎駅を出発する西九州新幹線「かもめ」=2022年9月23日(代表撮影)

 西九州新幹線が9月23日、武雄温泉(佐賀県)-長崎間で部分開業した。九州新幹線とは切り離された日本で一番短い新幹線(66キロ)で今後の利用動向が気になる。だが、工夫の余地はある。長崎空港との連携強化や、西九州新幹線を「観光コンテンツ」として活用することで、沿線活性化の可能性が見えてくる。

長崎空港から新大村駅へは10分

 筆者は、開業の1週間前と、開業翌日の9月24日に長崎に行き、新幹線各駅を調査した。西九州新幹線への期待の一つは、長崎空港へのアクセス駅となる新大村駅の有効活用だ。長崎空港は長崎県大村市にある海上空港だが、新大村駅は空港から車で10分程度の距離にある。

 今回開業した新幹線駅は、佐賀側から武雄温泉、嬉野(うれしの)温泉、新大村、諫早、長崎の5駅で、新大村駅はちょうど中間の駅になる。新大村駅から長崎駅は15分程度、逆側の武雄温泉駅までも15分程度だ。嬉野温泉駅までは8分程度という近さだ。

 つまり、新大村駅は長崎空港利用や温泉観光地へ向かう「ハブ駅」になりうる。

 例えば、長崎空港から長崎駅へ向かう場合、リムジンバスを利用すると約45分だ。一方、新大村駅経由で新幹線を利用すると、長崎空港から新大村まで約10分、乗り換えに10分ほどかかるとして、新幹線の乗車時間が約15分で、計35分程度だろう。時間的には新幹線に分がある。

 もちろんバスを利用した方が乗り換えの手間がなく便利…

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航空・旅行アナリスト

1978年千葉県生まれ。成城大学経済学部経営学科卒。城西国際大学大学院国際アドミニストレーション研究科修士課程修了。食品会社、城西国際大学観光学部助手を経て、帝京大学、共栄大学、川村学園女子大学で非常勤講師。専門は航空会社のマーケティング戦略。テレビやラジオの情報番組に多数出演し航空会社や旅行の解説を行う。近著に「コロナ後のエアライン」。