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60歳ベテラン社員「定年再雇用」で“ひょう変”した理由

井寄奈美・特定社会保険労務士
 
 

 A太さん(52)は従業員300人の会社の経理・総務部門の責任者です。60歳で定年を迎えたベテラン経理担当のB子さん(60)が再雇用となりましたが、働く姿勢がこれまでと激変し、どうしたらよいか戸惑っています。

 B子さんは勤続30年のベテラン社員です。当初はパートタイマーとして入社し、その手腕を買われて正社員になりました。社長からの信頼も厚く、経理関係の仕事をほぼ一手に引き受けていました。

 B子さんは毎朝、誰よりも早く出勤し、残業や休日出勤もいとわず、同社の事務職の中で最も労働時間が長くなっていました。有給休暇もほとんど取ることはありませんでした。

 A太さんは会社の働き方改革の責任者でもあり、労働時間の削減や有給休暇取得を促す立場です。このためB子さんの労働時間が長いのは好ましくないと考え、他の社員に担当業務を分散させました。

 しかし、業務の分散によって、他の社員がB子さんの判断を仰ぐ場面が多くなりました。その結果、B子さんの残業時間が大きく減ることはありませんでした。

「定年後はペース落として働きたい」

 そんなB子さんが60歳になる半年ほど前、社長とA太さんが定年退職後の働き方についてB子さんと面談をしました。B子さんは「仕事は続けたいと考えていますが、定年後は少しペースを落として働きたいです。週3日の勤務が希望です」と言います。

 また、B子さんは「定年前に1カ月ほど有給休暇をとりたい」と希望しました。このため、A太さんはB子さんが休暇を取るまでの間に、B子さんの担当業務を他の社員へ大急ぎで引き継ぎました。

 B子さんの休暇が明け、再雇用社員となった出勤初日のことでした。他の社員が出勤しても、まだB子さんの姿はありません。皆が心配していると、B子さんは…

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特定社会保険労務士

大阪市出身。2015年、関西大学大学院法学研究科博士前期課程修了。現在、大阪大学大学院法学研究科博士後期課程在籍中(専攻:労働法)。01年、社会保険労務士資格を取得。会計事務所勤務などを経て06年4月独立開業。井寄事務所(大阪市中央区)代表。著書に『トラブルにならない 小さな会社の女性社員を雇うルール』(日本実業出版社)など。http://www.sr-iyori.com/