
前回は、退職が視野に入った会社員のA夫さん(55)の老後の生活設計やマネープランのあり方について考えました。シミュレーションの結果、市場環境にもよりますが、一般には、資産運用期間が長ければ、複利効果もあって運用益は増えやすくなるとわかりました。
今回はこの点をもう少し堀り下げ、資産を増やしていく工夫として、長期投資と積み立て投資の効果について見ていきましょう。
長期になるとリターンが安定
まず、長期投資について考えます。
日本を含む先進国株式を対象にした株価指数のひとつに「モーニングスター・ディベロップド・マーケッツ」があります。
指数の算出が始まった1998年7月から直近の2022年9月までの約24年間、この指数に毎月3万3000円ずつ積み立て投資をした場合のシミュレーションをしてみます。
その結果、投資元本960万3000円に対し、資産評価額は約3177万円になりました。年率利回りは8.98%です。税金や手数料は考慮していません。
約24年間の資産評価額の動きを見れば、市場環境による変動があり、08年のリーマン・ショック後は元本割れした時期もありました。しかし、それを乗り越えて資産を増やすことができました。
ただし、これはあくまで過去のデータに基づいたもので、将来も同じようになるとは限りません。また、投資の時期によっても違ってきます。
同じ指数への投資でも、投資期間が5年程度と短期の場合、市場環境の良しあしによってリターンはばらつき、結果的に元本割れになってしまうこともあります。
しかし、投資期間が長くなるとリターンは安定し、さらに、得た利益を再投資していくことで利益が…
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