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投資するなら「今後成長する海外」インドが一番?

熊野英生・第一生命経済研究所 首席エコノミスト
将来の成長率が高い2国。インドネシア・バリ島で開かれた主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)で握手を交わすインドのモディ首相(左)とインドネシアのジョコ大統領=2022年11月15日、AP
将来の成長率が高い2国。インドネシア・バリ島で開かれた主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)で握手を交わすインドのモディ首相(左)とインドネシアのジョコ大統領=2022年11月15日、AP

 インフレの大きな問題の一つに、老後の生活の準備資金を実質的に減らすことがある。1年間の生活費を300万円と仮定すると、年平均3%の物価上昇で、9万円が目減りする。20年間で考えると180万円になってしまう。

 公的年金が物価に連動して増えればよいが、2004年に導入されたマクロ経済スライドで、年金加入者の減少や平均寿命の延びなどによって給付がカットされることもあり、物価上昇に連動しにくくなる仕組みになっている。

 インフレリスクに備えるには、運用を工夫して物価上昇率に負けない収益率を得なくてはならない。だが現在の預金金利0.001%では元本がいくら大きくても増やすことは無理だ。日本株(東証プライム市場)の配当利回り(単純平均、2022年10月)は2.23%で、これも十分とは言い難い。円建て資産での運用を考えると限界があると言わざるをえない。

日本は長期投資にふさわしくない?

 投資には価格変動リスクがつきものだ。これを抑えるためには長期で保有するしかない。長い時間をかけて、投資先の事業(経済)が成長する利益を得ることができる。運用資産が短期的に値下がりしても、長期で保有していれば、成長による利益が投資額を底上げして、元本割れを妨げるようになる。

 長期投資をする際には、長期的に成長する対象として何を選ぶのかが大きな問題となる。その点を考えても、はたして日本が長期的に成長していく投資対象として…

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第一生命経済研究所 首席エコノミスト

1967年山口県生まれ。横浜国立大学経済学部卒業。90年、日本銀行入行。調査統計局などを経て、2000年、第一生命経済研究所入社。11年4月から現職。専門は金融政策、財政政策、金融市場、経済統計。