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孫正義氏「明けない夜はない?」投資先ほぼ全滅の闇夜

山口敦雄・経済部
記者会見であいさつをするソフトバンクグループの孫正義会長兼社長=東京都港区で2022年11月11日、山口敦雄撮影
記者会見であいさつをするソフトバンクグループの孫正義会長兼社長=東京都港区で2022年11月11日、山口敦雄撮影

ソフトバンクグループの経営の実態(13)

 ソフトバンクグループが11月11日に発表した2022年9月中間連結決算の中身を改めて点検してみよう。ひと言で言えば「投資会社として壊滅的な決算」と言える。ポイントは孫正義会長兼社長が主導する「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」の成績だ。

 ビジョン・ファンドの7~9月期の成績は1兆4344億円の赤字だった。同ファンドは1~3月期に赤字2兆9966億円、4~6月期に同2兆9191億円とさんざんな成績だった。2四半期続けて3兆円弱の赤字を出し、この四半期でも1兆円を大きく上回る赤字。これがソフトバンクグループの危機の最大の原因だ。

投資先の株価が大幅に下落

 同ファンドは人工知能(AI)の技術を持つ企業に集中投資している。IT企業の世界的な株安の影響などで投資先企業の株価が下落したことが響いた。孫氏は決算記者会見で「今は上場株であれ未上場株であれ、投資していた会社はほとんど全滅に近い形でやられている」と現状を説明した。

 ビジョン・ファンド1の投資先企業のうち、中国のAI開発大手のセンスタイム・グループへの投資で3638億円の評価損を出した。上場前の18年に出資し、昨年12月に香港市場に上場したが、株価は上場後の高値から現在4分の1の水準に低迷している。

 また米料理宅配大手のドアダッシュでも2245億円の評価損を計上した。同社の株価は21年11月に240ドル台まで上昇したが、現在は50ドル台で推移している。

 配車サービスや電子商取引(EC)事業を手がけるインドネシアのゴートゥー・グループでも1082億円の評価損を計上した。同社は今年4月にインドネシア市場に上場したが…

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経済部

1974年生まれ。明治学院大法学部卒、同大大学院経営学修士。ビジネス誌「週刊エコノミスト」編集部記者、毎日新聞出版図書第二編集部編集長、学芸部記者を経て現職。著書に「楽天の研究」(毎日新聞社)がある。