
Aさん(23)は大学卒業後、フリーランスで動画編集の仕事をしています。フリーランスの仕事は収入が不安定です。卒業後は実家からの仕送りがなくなり、Aさんは家賃の支払いにも苦慮するため、アルバイトの時間数を増やすことにしました。しかし、生活費の足しにとアテにしていた初回の給料が予想外の「ゼロ円」となり困惑しています。
Aさんは動画編集の仕事をしている大学の先輩の下請けをしています。依頼される業務量には波があるため、収入の予測がつきません。今年9月の半ばにAさんは体調を崩してしまいました。仕事の納品が遅れ、予定していた収入を得ることができませんでした。
家賃や光熱費、携帯電話代などの支払いに困ったAさんは食費も切り詰めざるをえなくなりました。そこでAさんは家賃などに充てる定額収入を得るため、継続的にアルバイトをすることにしました。
時給1200円でアルバイト開始
Aさんは10月下旬、求人サイトで見つけた衣料品販売店に面接に行きました。週3~4日程度、1日7時間の働き方を希望し、常勤アルバイトとして採用が決まりました。時間給は1200円、社会保険加入という条件でした。
店長から「いつから働ける?」と聞かれました。Aさんが「すぐにでも大丈夫です」と答えたところ、10月26日から雇用開始となり、10月はシフトの都合で2日間だけ働きました。
同社の給料の締め日は月末で、翌月25日が給料日です。2日間の勤務ですので、初めての給料は1万7000円程度ですが、Aさんは給料日を楽しみにしていました。
翌月の銀行振り込みは?
給料日になり、Aさんが銀行の残高を確認したところ、給料が入金されていませんでした。驚いて店長に確認すると、「そんなことはないだろう。給料明細をよく見て」と言われました。
Aさんが給料明細を詳しく見ると、確かに勤務した2日分(14時間分)の給料1万6800円は支給額に記載されています。でも、そこから…
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特定社会保険労務士
大阪市出身。2015年、関西大学大学院法学研究科博士前期課程修了。現在、大阪大学大学院法学研究科博士後期課程在籍中(専攻:労働法)。01年、社会保険労務士資格を取得。会計事務所勤務などを経て06年4月独立開業。井寄事務所(大阪市中央区)代表。著書に『トラブルにならない 小さな会社の女性社員を雇うルール』(日本実業出版社)など。http://www.sr-iyori.com/