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58歳会社員「定年後の働き方」で社会保険どう違う?

岩城みずほ・ファイナンシャルプランナー
 
 

 60歳で定年を迎える会社員のA太さん(58)は、定年後にどのように働くかを決めかねています。働き方によって適用される社会保険の制度が変わることから、「それらを十分踏まえたうえで、働き方や老後の生活設計を考えたい」と相談に訪れました。

働き方で異なる「社会保険」

 多くの会社では60歳で定年を迎えます。定年後も働くか、働くのならどんな働き方をするのかは、人それぞれの希望や生活状況によりさまざまです。

 子どもが学校に通っており、教育費がかかる人なら「フルタイムで働きたい」という希望は多いでしょう。シニアになると親や配偶者の介護をする場面も増えます。その場合、パートやアルバイトとして柔軟に働きたいということもあるでしょう。

 また、キャリアを生かしてフリーランスとして独立したいとか、体調が思わしくないため定年後は働かないなどのケースもあるでしょう。

 それぞれの働き方について適用される社会保険について整理します。

 定年後、雇用継続になったり、別の会社に再就職したりする場合は、これまで同様、健康保険、厚生年金、雇用保険が適用されます。健康保険、厚生年金の保険料は労使折半、雇用保険の保険料は会社(事業者)が多く支払う仕組みです。

 年金受給開始は原則65歳ですが、現在は経過措置として、それ以前でも「特別支給の老齢厚生年金」が受け取れます。会社員として働くなど厚生年金保険料を払いながら厚生年金を受け取る場合は状況に応じて年金額が減額されます。このルールを「在職老齢年金」と呼びます。

 具体的には、年金月額と賃金月額の合計が47万円(2022年度の支給停止基準額)を…

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ファイナンシャルプランナー

CFP認定者、社会保険労務士、MZ Benefit Consulting 代表取締役、オフィスベネフィット代表、NPO法人「みんなのお金のアドバイザー協会」副理事長。金融商品の販売によるコミッションを得ず、顧客本位の独立系アドバイザーとして、家計相談、執筆、講演などを行っている。著書に「結局、2000万円問題ってどうなったんですか?」(サンマーク出版)など多数。