
ソフトバンクグループの経営の実態(14)
孫正義会長兼社長が率いるソフトバンクグループを資金面で支えているのが、社債による資金調達だ。銀行借り入れとともに孫氏の投資意欲を支えてきた。ソフトバンクグループの社債発行残高は約6兆円と巨額だ。投資ファンド事業で大損失を出した同社にとって巨額の社債が新たな火種になりかねない。
新たに3850億円を発行
ソフトバンクグループは12月1日、個人投資家向けの普通社債3850億円を発行すると発表した。金利は年2.84%で、償還期限は2029年12月だ。調達した資金の使い道については、12月9日に満期を迎える普通社債(9月末時点の残高3370億円、年2.13%)の償還により一時的に減少する手元資金などに充てると説明した。つまり過去の借金の「借り換え」ということだ。借り換えで利払い負担は増える。
市場関係者によるとソフトバンクグループが発行する社債は金利が高く「人気がある」という。年1%を下回る社債が多いなかで、2.84%という高い金利をつけているからだ。愛称は「福岡ソフトバンクホークスボンド」。日本格付研究所から「シングルAマイナス」の格付けを取得した。
同格付けは最上級のAAAからDまで11段階あり、AAからBまでプラスとマイナスの符号が付く。「シングルAマイナス」は「社債のなかでは中の下くらいの位置づけ」(債券アナリスト)だという。つまり、若干信用力が低い分、金利が高い位置づけのようだ。
ソフトバンクグループが直近の19年9月に出した個人向け普通社債は、格付けは同じく「シングルAマイナス」で金利は年1.38%だった。今回の社債と金利だけを単純に比較すると…
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