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確定拠出年金の「選択制」イデコとの併用はトクか

岩城みずほ・ファイナンシャルプランナー
 
 

 会社員のA助さん(40)の勤務先は、企業型確定拠出年金(DC)を導入していますが、加入者になるかどうかを従業員が決める「選択制DC」です。A助さんは老後資金の準備のために加入を選び、毎月掛け金を積み立てています。DCは法改正で2022年10月から、企業型と個人型のイデコ(iDeCo)との併用が可能になったことから、A助さんは「併用のメリットが知りたい」と相談に訪れました。

給与の一部を切り分け

 企業型DCは、会社が従業員のために導入する企業年金の一つです。会社が掛け金を出し、従業員がその運用を行います。原則として全従業員が加入対象になります。

 しかし、最近は、同じ企業型DCでも、加入者になるかどうかを従業員に決めさせる「選択制DC」を導入する会社が増えてきました。

 選択制DCはいくつかタイプがありますが「給与減額方式」が主流で、A助さんの勤務先もこのタイプです。会社は給与の一部を「生涯設計前払金」「ライフプラン手当」などの名称で切り分け、それを給与の手当として受け取るか、選択制DCの加入者となってその掛け金とするかを、従業員が選択します。

 選択制DCの掛け金とする場合は、月額5万5000円(他に企業年金がある場合は同2万7500円)以内で、加入者である従業員自身が金額を決めます。掛け金額の変更については規約で定めており、年1~2回できるのが一般的です。ただし、原則として掛け金額をゼロにすることはできません。

税や保険料は減るが「給付」も減額に

 具体的にみていきましょう。例えば、給与月額30万円でそのうち2万円を「生涯設計前払金」とし…

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ファイナンシャルプランナー

CFP認定者、社会保険労務士、MZ Benefit Consulting 代表取締役、オフィスベネフィット代表、NPO法人「みんなのお金のアドバイザー協会」副理事長。金融商品の販売によるコミッションを得ず、顧客本位の独立系アドバイザーとして、家計相談、執筆、講演などを行っている。著書に「結局、2000万円問題ってどうなったんですか?」(サンマーク出版)など多数。