
日本は自然災害が多い国であり、大地震や集中豪雨が起きれば鉄道にも大きな影響がある。2022年も災害と鉄道の関わりについて考えさせられる出来事がさまざまあった。年の瀬ということで振り返ってみたい。
地震で東北新幹線が脱線
今年3月16日の深夜に起きた福島県沖地震(マグニチュード7.4)では、福島―白石蔵王間を走行中だった東北新幹線「やまびこ223号」が脱線した。地震が起き、営業中の新幹線が脱線事故にまで至ったのは、上越新幹線が脱線した04年の新潟県中越地震以来のことだ。
こうした事故が起きると、「新幹線が脱線した」という事実のみを強調し、センセーショナルに報じるメディアもある。だが現在の新幹線の地震対策は「脱線したとしても車体は転倒させない」が基本方針だ。
もちろん脱線しないに越したことはない。だが脱線後も列車を転倒させないよう車体を維持できれば、人的被害を最小限にとどめられる。鉄道の世界では「脱線は究極のブレーキ」という言葉もある。大惨事を防ぐにはまず列車を止めること。脱線も想定した上でいかに人命を守るかが重要だ。
過去の大地震を教訓に
このJRの方針は、過去の大地震での経験が教訓になっている。
1995年の阪神・淡路大震災では、山陽新幹線の高架橋が崩落するなど大きな被害が出た。地震によ…
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