
日銀は12月20日の金融政策決定会合で、長期金利の変動幅の上限を0.25%程度から0.5%程度へと広げた。長期金利が0.5%まで上昇することを容認するものだ。黒田東彦総裁は記者会見で「これは利上げではない」と述べたが、金融市場はこれを、事実上の利上げだと受け止めた。
これまでの会見で黒田総裁は「利上げは全く考えていない」と宣言してきた。だから、多くの人は変動幅の上限を引き上げることもしないと理解していた。もし「これは利上げではない」とするならば、今後も変動幅の上限を、0.5%から0.75%、あるいは1%まででも広げることができる。それでも日銀としては「利上げではない」のだ。
このように考えると、論理を大きく飛躍させて、日銀はいつでも、いかようにでもイールドカーブ・コントロール政策を変更できてしまう。そうした意味で、12月の決定会合で日銀が行った見直しは金融市場に大きなショックを与えた。
「円安効果」は捨てたのか
長期金利の上昇を日銀が容認すると、為替レートは円高方向に振れる。筆者はこれまで、黒田総裁は円安を放任して輸入物価を押し上げる効果を高め、その圧力で国内物価を上げるつもりだとみていた。だから、黒田総裁は円安放任を見直すことはないと考えていた。
しかし、その見方は間違っていた。12月の政策変更は、黒田総裁がもはや円安を当てにしないことを宣言したようなものだ。賃上げによって物…
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