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アラ還記者がNYで「ワーケーション」やろうとした理由

川口雅浩・経済プレミア編集長
米ニューヨーク市マンハッタンの中心部=2022年7月、川口雅浩撮影
米ニューヨーク市マンハッタンの中心部=2022年7月、川口雅浩撮影

アラ還記者のNY滞在記(1)

 新型コロナウイルスの感染拡大は働き方を大きく変え、新聞記者も仕事によっては在宅勤務が可能になった。間もなく59歳、還暦手前の私もその一人だ。仕事をしながら外国などを旅する「ワーケーション」なる言葉も生まれた。偶然にも私には米ニューヨーク市(NY)で暮らす30歳の娘がいる。アラ還記者の私がNYで仕事をしたらどうなるか、実際にワーケーションをやってみた。

 東京・羽田からシアトル経由でNYへ。マンハッタンのマンションに住む娘の自宅に1週間余り居候しながら、東京の同僚や取材先とオンラインでやりとりするのだ。ただし、東京とNYは昼夜逆転の時差があるため、スムーズに仕事ができるか不安もあった。

インタビューも在宅で

 私は現在、毎日新聞経済部の経済プレミア編集グループで記者をしている。コロナ禍前は東京・竹橋の毎日新聞東京本社に出社し、午前10時から同僚たちと翌日以降の掲載記事について話し合う編集会議を開いていた。

 その編集会議がコロナ禍で2020年3月下旬からオンラインとなった。在宅勤務となると、世の中が一変した。同僚との会議はもちろん、民間企業の記者会見やNPOの勉強会、中央官庁の審議会などもオンラインで参加・傍聴できるようになった。

 コロナ禍前までは考えもしなかったが、インタビューもオンラインでできることがわかった。メールや電話で先方とアポを取り、ズームやチームスを使えば対面取材と変わらない。新聞記事に不可欠の写真も、インタビューの録画を使えばよい。

「外に出て見聞広めたい」

 もちろん、新聞記者の仕事がすべてオンラインで可能なわけではない。同じ経済部でも中央官庁などを取材する第一線の記者は東京・霞が関の官庁街で日々、官僚や政治家を取材している。かつての私もそうだった。とりわけ年末は…

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経済プレミア編集長

1964年生まれ。上智大ドイツ文学科卒。毎日新聞経済部で財務、経済産業、国土交通など中央官庁や日銀、金融業界、財界などを幅広く取材。共著に「破綻 北海道が凍てついた日々」(毎日新聞社)、「日本の技術は世界一」(新潮文庫)など。財政・金融のほか、原発や再生可能エネルギーなど環境エネルギー政策がライフワーク。19年5月から経済プレミア編集部。