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24年開始「新しいNISA」1年前倒しがトクな理由

渡辺精一・経済プレミア編集部
 
 

 2023年度税制改正は少額投資非課税制度(NISA)の拡充が目玉だ。制度を恒久化・無期限化し、非課税で投資できる枠も大幅に増える。複雑で制限が多く、使いにくいとされてきたNISAだが、全世代が利用できる資産形成制度として生まれ変わる。

お手本の英国に「10年かけて」追いつく

 NISAは、英国の資産形成制度ISAを手本に14年にできた。株式・投資信託の運用益には約20%の税がかかるが、一定条件下で非課税になる。

 現在、現物株などに広く投資できる「一般」▽積み立て投資に絞る「つみたて」▽未成年向けの「ジュニア」――の3タイプがあり、年間投資枠や非課税期間が決まっている。

 税制改正でこのNISAを24年に大幅刷新する。ポイントは四つある。

 第一に、恒久化・無期限化だ。

 時限措置で非課税期間も設定していた制度を、恒久化して期間も無期限にする。

 時限措置には制度廃止の不安が伴い、長期投資になじまなかった。非課税期間があるため、期間終了時には、資産を売却するか新たな非課税枠に移すかの判断を迫られた。新制度は、これらを払拭(ふっしょく)し、安心して長期投資に取り組めるようにする。

 第二に、一本化だ。成人向け2タイプ(つみたて、一般)は一方しか選べなかったが、新制度は、一つの口座内で、2タイプをそれぞれ引き継ぐ「つみたて投資枠」「成長投資枠(仮称)」を併用できる。仕組みが簡素になり、どちらを選ぶか悩む必要もない。

 第三に、投資枠の拡大だ。

 1年間に投資できる枠は、つみたて投資枠で120万円と従来の3倍、成長投資枠で240万円と同2倍に増え、計最大360万円になる。1人が生涯で投資できる枠は…

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経済プレミア編集部

1963年生まれ。一橋大学社会学部卒、86年毎日新聞社入社。大阪社会部・経済部、エコノミスト編集次長、川崎支局長などを経て、2014年から生活報道部で生活経済専門記者。18年4月から現職。ファイナンシャルプランナー資格(CFP認定者、1級FP技能士)も保有。