人生100年時代のライフ&マネー フォロー

少子化対策で浮上「N分N乗」が優遇する人・しない人

渡辺精一・経済プレミア編集部
 
 

 少子化対策として「N分N乗」課税方式が注目されている。子育て支援の手厚さで知られるフランスが採用しており、与野党で「子の数が多い世帯の税軽減になる」として検討を求める声がある。だが、N分N乗方式は高所得や片働きの世帯に恩恵が大きいという問題点がある。導入となれば、社会保障や家族制度の大がかりな見直しも避けられない。

子育て大国フランスの世帯単位課税

 個人所得課税は、個人ごとに課税する「個人単位」と、世帯の所得に課税する「世帯単位」の2方式がある。家族や社会のありかたが深く関わるが、世界では個人単位が主流だ。

 日本では、戦前は「家制度」に基づく世帯単位だった。家制度は戦後に廃止され、シャウプ勧告を受けて1950年に個人単位になった。

 だが、家計は世帯単位であるため、配偶者、親、子など扶養家族がいれば生活費がかかる。そこで、個人の所得から配偶者控除や扶養控除など「人的控除」を差し引く仕組みがある。

 世帯単位を導入している主要国には米国、ドイツ、フランスがある。

 米国とドイツは、個人単位との選択制として夫婦単位の「2分2乗」方式がある。夫婦の所得を足して2で割った額に税率を適用して「1人当たり税額」を出し、その2倍を「夫婦の所得税額」とみなす。

 フランスは「N分N乗」方式という世帯単位だけを採用している。

 税額の計算は3段階だ。まず世帯の所得を合算して、家族の人数を加味した数値Nで割る。Nは、大人は1、子は2人目までが0.5、3人目からは1とみなした合計値だ。「夫婦+子2人」はN=3、「夫婦+子3人」はN=4になる。

 次に「世帯所得÷N」に税率を適用して「1人当たり税額」を求める…

この記事は有料記事です。

残り2033文字(全文2731文字)

経済プレミア編集部

1963年生まれ。一橋大学社会学部卒、86年毎日新聞社入社。大阪社会部・経済部、エコノミスト編集次長、川崎支局長などを経て、2014年から生活報道部で生活経済専門記者。18年4月から現職。ファイナンシャルプランナー資格(CFP認定者、1級FP技能士)も保有。