
社長交代でトヨタとスバルどうなる?(上)
「スバルブランドの大きな方向性は維持しつつ、新しい時代のスバルづくりに向け着実に前進したい。トヨタさんとの強固な関係は私も継承していきたい」
SUBARU(スバル)の次期社長に内定した大崎篤取締役専務執行役員(60)は3月3日の記者会見でこう語った。スバルは世界生産台数が100万台前後と小規模だが、日本で「スバリスト」、米国で「Subie(スービー)」と呼ばれる熱烈なファンを持つ。社長交代でスバルは変わるのか。同じく社長が交代するトヨタ自動車との関係はどうなるのだろうか。
6月にスバルの次期社長となる大崎氏は、同社の社長としては竹中恭二氏(2001~06年)以来、久しぶりのエンジニア出身だ。大崎氏は東京農工大大学院を修了後、富士重工業(現スバル)に入社。スバル独自の水平対向エンジンやトランスミッションの設計、商品企画などを担当した。
一方、トヨタの豊田章男社長(66)の後任となる佐藤恒治執行役員(53)もエンジニア出身だ。佐藤氏は早大理工学部卒業後、トヨタに入社し、初代プリウスのサスペンションなどを担当した。
ホンダは技術者が歴代社長だが
日本の自動車メーカーのうち、ホンダは初代の本田宗一郎氏以来、伝統的に理系のエンジニア出身者が社長を務める。「技術がわからなければ商品の評価はできず、正しい経営判断もできない」と、同社の社長経験者に聞いたことがある。
「ホンダでは四輪の免許だけでなく、二輪の大型免許がなければ、取締役になれない。なぜなら自社の大型バイクを評価できないからだ」とも言われる。実際に大型バイクで通勤する社長もいた。
ところがトヨタ、日産自動車はじめ、他の日本メーカーは圧倒的に文系の営業や財務畑出身者が社長になるケースが多い。
そんな日本メーカーの中で、提携関係にあるトヨタとスバルの両次期社長が理系のエンジニア出身というのは偶然なのか。それとも…
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