
社長交代でトヨタとスバルどうなる?(下)
「トヨタさんとは腹を割って、ひざ詰めの議論ができる強固な関係になった。スバル社内はトヨタさんに信頼される仕事、リスペクトされる仕事をしようと一枚岩になっている」
こう語るのは、SUBARU(スバル)の次期社長に内定した大崎篤取締役専務執行役員(60)だ。大崎氏は3月3日の記者会見で「トヨタさんとの強固な関係を私も継承していきたい」と語ったが、新体制となるトヨタ自動車の反応はどうか。
トヨタは2005年にスバルと資本提携し、これまで後輪駆動のスポーツカーと電気自動車(EV)を共同開発してきた。19年にはトヨタがスバルへの出資比率を議決権ベースで従来の16.83%から20%に引き上げるなど、次世代技術の開発をにらみ業務資本提携を強化した。
両社初の本格EV(トヨタbZ4Xとスバルソルテラ)の開発は、プリウスなどのハイブリッドカーで長年培ったトヨタの電動技術が生きた。四輪駆動の制御ではスバルの最新技術を用いた。まさに両社の「いいとこ取り」で相乗効果が生まれた。
スポーツカーの共同開発は群馬県のスバルの開発拠点、EVの共同開発は愛知県のトヨタの開発拠点に両社のエンジニアが集まり、「ひざ詰め」の議論を行ったという。
両社の関係に変化の兆し?
ところが、両社の関係に少し変化の兆しがあるようだ。2代にわたって続いた両社の後輪駆動スポーツカー(トヨタGR86とスバルBRZ)の共同開発は、次回からトヨタ主導もしくはトヨタ単独で進むのではないかと見られているからだ。
これまでトヨタはGR86にスバルの水平対向4気筒エンジンを採用してきた。ところが、次回からトヨタは自社製の直列3気筒エンジンを搭載する可能性が高いと、自動車専門のメディアが関係筋の情報として伝えている。
実際にトヨタがGR86で昨年から参戦する国内の耐久レースでは、スバルの水平対向エンジンをトヨタ製に換装している。この耐久レースを含むトヨタの…
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