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ソフトバンクG「債務の株式化」窮地のウィーワーク支援

山口敦雄・経済部
「ウィーワーク問題」はソフトバンクグループを悩まし続けている。写真は孫正義会長兼社長=東京都中央区で2019年11月6日、玉城達郎撮影
「ウィーワーク問題」はソフトバンクグループを悩まし続けている。写真は孫正義会長兼社長=東京都中央区で2019年11月6日、玉城達郎撮影

ソフトバンクグループ経営の実態(27)

 ソフトバンクグループが投資先の米シェアオフィス大手ウィーワークに対し、約10億ドル(約1320億円)の無担保債務を株式に転換する「債務の株式化」を柱とする金融支援を決めた。ウィーワークが3月17日発表した。ウィーワークは、筆頭株主であるソフトバンクグループの支援で経営再建中だが、米銀の連鎖破綻で新興企業への不安が広がるなか株価が一時は80セント台まで急落していた。

 ウィーワークの発表によると、ウィーワークはソフトバンクグループの支援で総額15億ドル(約2000億円)の負債を削減する。ウィーワークはソフトバンクグループに約16億ドルの無担保債務がある。そのうち約10億ドルの債務を株式化し、残り約6億ドルの債務を割安な形で新しい債務に借り換える。同社の負債は24億ドルに減少するという。

 「債務の株式化」は、返済を義務づける「債務」を、場合によっては紙くずになりかねない「株式」に振り替えるものだ。ソフトバンクグループにとって窮余の一策だ。ウィーワークは2019年には企業価値が470億ドルあると評価されたが、直近の株価で算定した時価総額は7億ドル程度に下がった。ウィーワーク再建はなお波乱含みだ。

泥沼の「大失敗」案件

 ウィーワークはソフトバンクグループの孫正義会長兼社長が「失敗した」と振り返った大型投資案件の一つだ。都心のオフィスを短期で貸し出す「シェアオフィス」で急成長したが、赤字続きの財務や企業統治への疑念が広がり、19年に予定していた上場が延期となり、資金調達が空振りとなった。

 ウィーワークの経営への不安が広がるなか、ソフトバンクグル…

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経済部

1974年生まれ。明治学院大法学部卒、同大大学院経営学修士。ビジネス誌「週刊エコノミスト」編集部記者、毎日新聞出版図書第二編集部編集長、学芸部記者を経て現職。著書に「楽天の研究」(毎日新聞社)がある。