
ソフトバンクグループ経営の実態(27)
ソフトバンクグループが投資先の米シェアオフィス大手ウィーワークに対し、約10億ドル(約1320億円)の無担保債務を株式に転換する「債務の株式化」を柱とする金融支援を決めた。ウィーワークが3月17日発表した。ウィーワークは、筆頭株主であるソフトバンクグループの支援で経営再建中だが、米銀の連鎖破綻で新興企業への不安が広がるなか株価が一時は80セント台まで急落していた。
ウィーワークの発表によると、ウィーワークはソフトバンクグループの支援で総額15億ドル(約2000億円)の負債を削減する。ウィーワークはソフトバンクグループに約16億ドルの無担保債務がある。そのうち約10億ドルの債務を株式化し、残り約6億ドルの債務を割安な形で新しい債務に借り換える。同社の負債は24億ドルに減少するという。
「債務の株式化」は、返済を義務づける「債務」を、場合によっては紙くずになりかねない「株式」に振り替えるものだ。ソフトバンクグループにとって窮余の一策だ。ウィーワークは2019年には企業価値が470億ドルあると評価されたが、直近の株価で算定した時価総額は7億ドル程度に下がった。ウィーワーク再建はなお波乱含みだ。
泥沼の「大失敗」案件
ウィーワークはソフトバンクグループの孫正義会長兼社長が「失敗した」と振り返った大型投資案件の一つだ。都心のオフィスを短期で貸し出す「シェアオフィス」で急成長したが、赤字続きの財務や企業統治への疑念が広がり、19年に予定していた上場が延期となり、資金調達が空振りとなった。
ウィーワークの経営への不安が広がるなか、ソフトバンクグル…
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