人生100年時代のライフ&マネー フォロー

確定拠出年金「60歳でどう受け取る?」の出口問題

渡辺精一・経済プレミア編集部
 
 

 確定拠出年金(DC)制度は誕生から22年。近年、加入要件が拡大し、加入者は約1100万人に増え「老後資金作りの国民的制度」として定着しつつある。一方、年金を受給できる60歳を迎える人も年30万人規模にのぼり、資金を積み立てるだけでなく、その資金をどう受け取るかという「出口問題」が焦点になっている。60歳からの老後生活は長い。運用を続け「増やしながら取り崩す」ことも視野に入れたい。

加入者数1100万人・資産23兆円に

 DCは公的年金に上乗せする私的年金で、掛け金を個人ごとに区分し、加入者が運用する。企業型DCと個人型のiDeCo(イデコ)の二つがある。

 企業型DCは、企業年金制度の一種で、会社が掛け金を負担し、加入者の社員が運用する。イデコは国民年金の「上乗せ」にあたり、個人が金融機関に口座を設け、自分で掛け金を負担して運用する。

 DCは2001年、企業年金の立て直しを狙いにスタートした。将来の給付を約束する確定給付型の企業年金が運用環境の悪化で行き詰まり、企業は掛け金を負担し、運用は加入者が自己責任で行うDCが生まれた。

 イデコは当初、企業型DCを補完する役割で、加入者は自営業者や企業年金のない会社員などに限ったが、その後、裾野を広げた。17年には20~59歳で企業型DCに加入していない場合は原則加入できるようになった。

 さらに、22年以降、加入要件などを拡充している。

 22年4月に受給開始時期を従来の60~69歳から60~74歳に広げ、同5月には加入可能年齢を企業型DCで69歳まで、イデコで64歳までに引き上げた。同10月には企業型DC加入者がイデコを併用できるようになった。政府は…

この記事は有料記事です。

残り2086文字(全文2790文字)

経済プレミア編集部

1963年生まれ。一橋大学社会学部卒、86年毎日新聞社入社。大阪社会部・経済部、エコノミスト編集次長、川崎支局長などを経て、2014年から生活報道部で生活経済専門記者。18年4月から現職。ファイナンシャルプランナー資格(CFP認定者、1級FP技能士)も保有。