
新潟医療福祉大学 リハビリテーション学部 鍼灸健康学科教授
1976年京都生まれ。京都大学医学部卒。北里大学大学院修了(専攻は東洋医学)。東京女子医大付属膠原病リウマチ痛風センター、JR東京総合病院、NTT東日本関東病院リウマチ膠原病科を経て、2023年4月より、新潟医療福祉大学リハビリテーション学部鍼灸健康学科教授。聖路加国際病院 Immuno-Rheumatology Center 臨床教育アドバイザー 。福島県立医科大学非常勤講師。著書に「未来の漢方」(森まゆみと共著、亜紀書房)、「漢方水先案内 医学の東へ」(医学書院)、「ほの暗い永久から出でて 生と死を巡る対話」(上橋菜穂子との共著、文藝春秋)など。訳書に「閃めく経絡―現代医学のミステリーに鍼灸の“サイエンス"が挑む! 」(D.キーオン著、須田万勢らと共訳)がある。
専門家・執筆者記事 39件
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まとめきれない「こころ」と「からだ」 ~精神分析と漢方医学の不協和音~
漢方ことはじめ
今年の夏は記録的な猛暑の日が続きましたが、少しずつ太陽の光が衰え、秋の気配も漂ってきました。毎年このシーズンになると亡くな…
2023年9月12日
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なぜ「治る」のか? 漢方の大先達を当惑させた二つの「成功症例」
漢方ことはじめ
大学は前期の授業が終わり、期末試験のシーズンを迎えました。 学生さんにとって試験は、合否が最大の関心事でしょう。一方、教員…
2023年8月8日
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大きな病院で漢方を活用するには?
漢方ことはじめ
新年度の人事異動が落ち着いてから、暑い夏を迎えるまでが「学会シーズン」です。 「学会」では大勢の医師たちが集まって、知識を…
2023年7月11日
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「分解の哲学」と東洋の陰陽五行説
漢方ことはじめ
漢方について勉強しようとしたときに、最初のハードルとなるのが、陰陽五行説に代表される独特な東洋思想の考え方や自然観だと思い…
2023年6月13日
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「雨ニモ負ケズ」にみる「ケア」の思想
漢方ことはじめ
新年度から大学の教員となり、自分と親子ほども年の違う学生さんと日常的に接するようになりました。東洋医学の難しい話をどうやっ…
2023年5月9日
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「ありふれた症状」をどう治すか
漢方ことはじめ
いつぞや、同年代ながら私にいつもいろいろ教えてくださる熊本の名医、加島雅之先生がとても面白いことをおっしゃっていました。 …
2023年4月11日
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アベノミクス後遺症に「漢方」が効く? ~日銀副総裁の語る東洋思想~
漢方ことはじめ
前回、「君子豹変(ひょうへん)す」という言葉について述べました(https://mainichi.jp/premier/h…
2023年3月14日
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師が自説を改めるとき
漢方ことはじめ
「君子豹変(ひょうへん)す」という言葉があります。 立派な人物は鮮やかなヒョウ柄のように考え方をガラリと変える、という意味…
2023年2月14日
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“冬の時代”のとば口に立つ漢方~昨年の私的三大ニュース~
漢方ことはじめ
2023年、年が明けました。皆さんは昨年一年をどのように振り返っておられるでしょうか? 私自身にとっては年々厳しくなる環境…
2023年1月10日
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治療の道のりを設計する「プログラム」と「レシピ」
漢方ことはじめ
クリスマスが近づいてきました。お子さんやお孫さんのプレゼント選びに腐心しておられる方もいらっしゃることと思います。 先日、…
2022年12月13日
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“不純物”の効用
漢方ことはじめ
日本にはさまざまな技能を持つ職人さんがいらっしゃいます。 ある時、パイプオルガン製作で世界的に有名な日本人についての、とて…
2022年11月8日
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日々の診療に「役立つ」研究と「役立たない」研究
漢方ことはじめ
医学は日々進歩し、次々に新しい病気の概念や治療法が登場します。漢方が専門だからといって、追いつく努力を怠ると、あっという間…
2022年10月11日
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中井久夫先生に教わったこと
漢方ことはじめ
先月8日に、神戸大学名誉教授で精神科医の中井久夫先生が亡くなられました。私が今の仕事をずっと続けていられるのは、中井先生の…
2022年9月13日
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細胞の「乗っ取り屋」と「三禁湯」
漢方ことはじめ
高校の生物の授業で「セントラル・ドグマ」という学説を習ったことを覚えていらっしゃるでしょうか。 日本語で「中心教義」と訳さ…
2022年8月9日
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治療の舵取りとそのリスク 症状の緩和か、根本から治すか
漢方ことはじめ
先般の参議院議員選挙では、「物価高対策」が大きな争点の一つとなりました。新型コロナウイルス感染症により世界全体で移動の制限…
2022年7月12日
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夏至の夜の夢 眠りと漢方
漢方ことはじめ
患者さんが「眠れない」と訴えるとき、たいていの医者、特に不眠症は専門外という医者はそっけない態度をとりがちです。多忙な医者…
2022年6月14日
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漢方と占いの怪しい?関係 孔子も尊んだ「易経」の思想
漢方ことはじめ
以前、ある学会から「漢方薬で抗生物質の使用量を減らせるか」をテーマに講演を委嘱されました。現代医学において、抗生物質は細菌…
2022年5月10日
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「不治」と「誤治」ーー漢方の失敗学
漢方ことはじめ
医療は神ならぬ人がやっていることですから、いつも良い結果を生むとは限りません。医療ミスや薬害といった話題はマスコミでセンセ…
2022年4月12日
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危機の季節の処方箋
漢方ことはじめ
寒さ厳しい季節がようやく終わりを迎え、草木が芽吹き花ほころぶ春がやってきたというのに、毎日流れてくるニュースは陰鬱な気分に…
2022年3月8日
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漢方医たちの休日 ~趣味は医業の敵か味方か~
漢方ことはじめ
現代のようにさまざまな娯楽がなかった江戸時代、医師たちは余暇をどのように過ごしていたのでしょうか。明治の文豪、森鷗外の著し…
2022年2月8日
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「おけらまいり」で疫病退散を願った先人たちの知恵
漢方ことはじめ
今回はお正月らしい話題をひとつ。 私の実家にほど近い八坂神社(京都市東山区)では、例年大みそかの深夜から元日の早朝にかけ、…
2022年1月11日
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漢方薬の名前に見る中華帝国の政治力学
漢方ことはじめ
医者の同僚に「漢方を教えてほしい」と頼まれたとき、最初のハードルになるのが「漢字の多さ」です。日本語を使う人なのに漢字が苦…
2021年12月28日
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長く生き残り続けていくために必要なものは何か
漢方ことはじめ
日本では、現代医学的治療も漢方薬による治療も同じ健康保険制度でカバーされます。ただ、このようなことが可能なのは世界でも珍し…
2021年12月14日
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なぜ「良薬は口に苦し」なのか ~薬の見かけ・匂い・味の意味~
漢方ことはじめ
「先生、患者さんから電話がかかっています」 外来の看護師が私に声をかけてくれました。先日、あるかかりつけの患者さんに処方し…
2021年11月23日
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免疫学者が新作能に書いた「五運六気」の謎
漢方ことはじめ
いまから5年前のある日、私はテレビに映っている能舞台にくぎ付けになっていました。 そもそも病といえるは 五運六気の乱れ…
2021年11月9日
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病は「気候」から 気候と健康の関係
漢方ことはじめ
10月は例年ノーベル賞のニュースが世間をにぎわせます。今年は大気中の二酸化炭素濃度が気候変動に与える影響を研究した真鍋淑郎…
2021年10月26日
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「聞く」ことの大切さ 伝統医学で重要視される“漠然とした”感覚
漢方ことはじめ
「聞香(もんこう)」という言葉があります。香りは嗅ぐものではなく「聞く」ものだ、という香道の考え方が表れている言葉です。漢…
2021年10月12日
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「分け隔てのない医療」のメリット
漢方ことはじめ
いま、新型コロナウイルス感染症は、ようやく“第5波”が収束の兆しを見せ、全国の新規感染者数が減少を続けていますが、濃厚な医…
2021年9月28日
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私たちはなぜ健康を保たないといけないのか 「養生」の論理と倫理
漢方ことはじめ
私が漢方を学んだ北里大学東洋医学研究所では、夏と冬の年2回、医学の歴史に関する講演会を催しています。普段、学会などに参加す…
2021年9月14日
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伝統が新しいものを生む瞬間 ~音楽と医学の対話に学ぶ~
漢方ことはじめ
先日、江戸浄瑠璃一中節の宗家、都一中氏とお話しする機会がありました。日本の古典音楽の第一線で活躍されている一中氏ですが、西…
2021年8月24日