加齢などが原因でひざの軟骨がすり減り関節が変形する「変形性膝(ひざ)関節症」は、進行すると歩行困難から寝たきりになることも多い。最近、すねの骨の一部を切り、元の関節を残して変形を矯正する「高位脛骨(けいこつ)骨切り術(HTO)」が良好な治療成績を上げ、注目されている。
すねの骨切り取らず
国内で変形性膝関節症の自覚症状がある患者は約1000万人、潜在的には約3000万人に達するとされ、女性に多い。変形性膝関節症は、ひざの内側の軟骨がすり減りO脚になる。するとひざの内側にさらに体重がかかって、軟骨の変性、摩耗が進む。現在の治療は、ひざ関節を人工関節に置き換える手術(TKA)が中心だ。
最近注目されているHTOは、新しい技術ではない。1960年代に米国で開発され、70年代に日本に導入された。当時からのHTOはひざのすぐ下のすねの骨(脛骨)を外側からくさび状に切り取り、軟骨の傷みが少ないひざの外側に体重がかかるよう調整する手術だった。関節の骨を露出させる大がかりな手術で、患者は除去した部分の骨が再びくっつくまで歩けず、2〜3カ月の入院が必要だった。このため、現在国内でTKAは年約…
この記事は有料記事です。
残り979文字(全文1473文字)
投稿にはログインが必要です。
注目コンテンツ