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便・尿失禁の治療法 骨盤底筋強化と手術で改善

福島安紀・医療ライター

 「力を入れたら漏れた」「トイレに間に合わない」と、人知れず悩んでいないだろうか。便失禁の患者は約500万人、尿失禁は800万人と推計され、さらに増え続けている。そんな中、便失禁の新たな治療が保険適用になった。改めて、失禁の改善策と最新治療を探ってみた。

加齢や出産が主な原因

 東京都内に住む30代の主婦は長女を出産した後、時々、便を漏らすようになった。いつ下着を汚すか分からないと思うと心配で、近所への買い物以外はほとんど外出できない状態に。「子供の用事でどうしても外出しなくてはならない時は、前日から何も食べないようにしていました」と話す。

 便失禁には、便意は感じるがトイレにたどり着く前に漏れてしまう「切迫性便失禁」、気付かないうちに下着が汚れる「漏出性便失禁」、さらに両方の混合タイプがある。「いずれも加齢や出産、直腸や肛門の手術、骨髄の損傷などで括約筋がダメージを受けたり、便意を感知するセンサーが鈍くなったりすることで起こります。便失禁のある人の75%が家族にも相談できず悩んでいるとのデータもあります。一人で抱え込まず、大腸肛門科…

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医療ライター

ふくしま・あき 1967年生まれ。90年立教大学法学部卒。医療系出版社、サンデー毎日専属記者を経てフリーランスに。医療・介護問題を中心に取材・執筆活動を行う。社会福祉士。著書に「がん、脳卒中、心臓病 三大病死亡 衝撃の地域格差」(中央公論新社、共著)、「病院がまるごとやさしくわかる本」(秀和システム)など。興味のあるテーマは、がん医療、当事者活動、医療費、認知症、心臓病、脳疾患。