
2014年12月に発行されたアメリカの医学雑誌「JAMA Internal Medicine」で、「自分を実年齢よりも若いと感じている人は、老けていると感じている人に比べ、死亡のリスクが約40%低い」という研究結果が掲載された。
「自分は若い」と思う人ほど死亡リスク低い
ロンドン大学のAndrew Steptoe先生による同リポートでは、04年前後に行われた6489例の自分の年齢に対する意識調査をベースに、同じ対象者の13年までのがん・心血管疾患などの死亡リスクとの関連を解析した。その結果、調査対象者の実際の平均年齢が65.8歳なのに対し、自己認識年齢は平均56.8歳と10歳ほど若く、また全体の約7割の人が実年齢より3歳以上若いと感じていることが分かった。
そして平均99カ月にわたる調査期間中における死亡率は、自分を「実際の年齢より若い」と感じている人が14.3%だったのに対し、「年相応だ」と感じている人は18.5%、「実際の年齢より老けている」と感じる人は24.6%であったというから、その差は尋常ではない。不治の病などにより自分を老けていると感じている人もいるであろうという点を考慮し、調査開始後1年以内に死亡した例を省いても、ほぼ同じ結果だったと…
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大阪大学招へい教授
いしくら・ふみのぶ 1955年京都生まれ。三重大学医学部卒業後、国立循環器病センター医師、大阪厚生年金病院内科医長、大阪警察病院循環器科医長、米国メイヨー・クリニック・リサーチフェロー、大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻准教授などを経て、2013年4月から17年3月まで大阪樟蔭女子大学教授、17年4月から大阪大学人間科学研究科未来共創センター招へい教授。循環器内科が専門だが、早くから心療内科の領域も手がけ、特に中高年のメンタルケア、うつ病治療に積極的に取り組む。01年には全国でも先駆けとなる「男性更年期外来」を大阪市内で開設、性機能障害の治療も専門的に行う(眼科イシクラクリニック)。夫の言動への不平や不満がストレスとなって妻の体に不調が生じる状態を「夫源病」と命名し、話題を呼ぶ。また60歳を過ぎて初めて包丁を持つ男性のための「男のええ加減料理」の提唱、自転車をこいで発電しエネルギー源とする可能性を探る「日本原始力発電所協会」の設立など、ジャンルを超えたユニークな活動で知られる。「妻の病気の9割は夫がつくる」「なぜ妻は、夫のやることなすこと気に食わないのか エイリアン妻と共生するための15の戦略」など著書多数。
連載:無難に生きる方法論
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