登山外来の現場から

ちょっとけがをした−それは「遭難」ですか?

大城和恵・北海道大野記念病院医師/国際山岳医
  • 文字
  • 印刷

 いつの間にか中高年入りしてしまった「登山外来の現場から」執筆者の大城和恵です。

 体の動きも体力も昔と違うことを少しずつ感じています。最近は、ちょっと臆病に、ちょっと慎重に、自分を戒めながら山に登っています。そう言いつつも先日、登山中に骨折してしまいました。「救助は呼びたくないなー。『国際山岳医救助される!』なんて書かれたくないなー。勝手に登ったのに、自力で下りないのは嫌だなー」と思いながら、なんとか1人で下山。靴の選択が悪かった、と反省しました。

 「不注意だ」と言われたら、まったくその通り。気にはなっていたんです……と心の中で言い訳する始末で、…

この記事は有料記事です。

残り2234文字(全文2510文字)

大城和恵

北海道大野記念病院医師/国際山岳医

おおしろ・かずえ 1967年長野県生まれ。医学博士、山岳医療修士。日本大学医学部卒業後、循環器内科医として約10年間の付属病院勤務を経て、「山での遭難者を助けたい」という思いを募らせて本格的に山岳医療の勉強を始める。98年、アフリカ大陸最高峰キリマンジャロ(5895m)に登頂。心臓血管センター大野病院(現・北海道大野記念病院)を拠点に診療を続けるが、09年に退職し渡英。1年をかけて日本人として初めて「UIAA(国際山岳連盟)/ICAR(国際山岳救助協議会)/ISMM(国際登山医学会)認定国際山岳医」の資格を取得した。現在は同病院の循環器内科・内科および登山外来で勤務するかたわら、北海道警察山岳遭難救助隊のアドバイザーも務める。遭難実態を知り、現在遭難しないための医療情報、心臓死の予防、高所登山のアドバイス、ファーストエイド技術の講習会主宰など、山と登山に関する多方面で活躍する。13年には三浦雄一郎さんのエベレスト遠征隊にチームドクターとして参加した。自身もマッキンリー、マッターホルン、マナスル(世界第8位)登頂など海外を含む豊富な登山歴を持つ。