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食品中のコレステロールは、もはや健康の敵ではない!?

大西睦子・内科医

 最近、「食品に含まれるコレステロールは気にしなくていい」「卵は控えなくても大丈夫」などの話題をよく耳にしませんか? 米国でも、この話題が盛んに議論されています。

 この議論の火付け役は、今年の2月に発表された「アメリカ人のための食生活指針(Dietary guidelines for Americans)」草案です。これまで米国では、コレステロールの摂取量として1日300mg以下が推奨されてきましたが、新しい指針においては、その摂取制限が撤廃されました。「日本人の食事摂取基準(2015年版)」においても、コレステロールの摂取量は控えめに抑えることが好ましいとありますが、以前のような目標値は撤廃されています。

参考URL:http://www.health.gov/dietaryguidelines/

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内科医

おおにし・むつこ 内科医師、米国ボストン在住、医学博士。東京女子医科大学卒業後、同血液内科入局。国立がんセンター、東京大学医学部付属病院血液・腫瘍内科にて造血幹細胞移植の臨床研究に従事。2007年4月より、ボストンのダナ・ファーバー癌研究所に留学し、ライフスタイルや食生活と病気の発生を疫学的に研究。08年4月から13年12月末まで、ハーバード大学で、肥満や老化などに関する研究に従事。ハーバード大学学部長賞を2度授与。現在、星槎グループ医療・教育未来創生研究所ボストン支部の研究員として、日米共同研究を進めている。著書に、「カロリーゼロにだまされるな――本当は怖い人工甘味料の裏側」(ダイヤモンド社)、「『カロリーゼロ』はかえって太る!」(講談社+α新書)、「健康でいたければ『それ』は食べるな」(朝日新聞出版)。